「怪童丸」
![怪童丸/KAIDOHMARU [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/11EY4Y618GL._SL160_.jpg)
2001/日本/アニメーション/IG PLUS/監督・脚本:若林漢ニ/出演(声):斎賀みつき、森久保祥太郎、日野由利加、折笠愛
平安時代、怨霊が貴族の世に翳りを見せる時代。陰謀渦巻く中で、人の心が生み出したゆがみが、世の中を闇に引きずり込んでいく。
中身を全然知らずに、タイトルと絵だけでケーブルで録画予約して観たのですが、超ツボ!!!
でもちょっと、マニアックですね。私は平安時代も全然イケる歴女(笑)なので、ある程度の知識はあったんですが、それがなければ一体何の話なんだか、世界観がまるっきり掴めなかったでしょう。
短い物語で、伝説を基に作られているので、説明不足な点も多々。
でも、私も最後まで気づきませんでした。
主人公があの人だったいうことに。
坂田公時。
どっかで聞いたことあるな、銀魂か?と思って調べてみたら。
♪ま~さかり かーついだ
あの人でした。熊に跨って馬の稽古してたあのおかっぱで赤い前掛けの少年じゃねーか!!
歌舞伎で登場するこの少年の名が、「怪童丸」。
うわあああ、そりゃツボな世界なはずだ!
このアニメでは、公時が少女であるという設定で、そのことが比較的早い段階で明かされます。足柄山で金太郎を拾い、金太郎を含む四天王と共にその後数々の伝説を残す、源頼光。らいこう、と読むんですね。よりみつだと思ってた。らいこうの方がカッコイイ!
頼光との、恋とも主従とも知れぬ絆の正体も、その曖昧さゆえに、妙に色っぽい。
公時のKY発言での妙な間合いも凄く好きです(笑)。あの間、神だと思う(笑)!!
あの時代が好きな私としては、登場人物に相当心躍ったんですけどね(笑)。茨木童子の正体に相当キュキュンってきました。や、まぁ、妥当か。あ、そうそう。後で調べたところ、茨木童子は相当美少年だったようですね!折笠さんであの姿で美少年っ!た、たまりませんよ。
平安時代というのは、恋や歌ばかりの平和な時代かというと、そういうわけではない。寧ろ、自らの権勢を誇るために、武力の代わりに陰謀で人を引き摺り下ろす。暗殺も多い、見えない部分での影が多い時代です。それゆえに京には恨みが蔓延し、怨霊がはびこる。
そして、疫病などは怨霊のせいだと信じられ、悪霊を退治する陰陽道が栄えたわけです。
このアニメは道長が全盛期のようですが、藤原道長という人の悪どさは凄い(アニメ内での説明はないですが)。本来なら摂政などに就けるはずもない五男坊なのに、兄さん達が次々とお亡くなりに。ラッキーだったんかもしれんけど。真相は闇の中・・・
この人のイメージを悪くしてるのは、この歌でしょうね(笑)。
この世をば わが世ぞと思ふ 望月の 欠けたることの なしと思えばすっごい意訳すると、
世界はオレのもんだぜ、アーッハッハッハ!
って感じ?何でも思い通りだぜ!
つか、完璧に覚えてた自分にビックリだぜ!
勿論、この歌は当時のライバルが書いた資料から出てきたものだから、どこまで本当か分からないですけどね。牽制や皮肉でわざとイヤな言い方で言ったのかもしれないし。
この時代の魅力的なところは、こういう光と影の部分でしょう。
華やかに見えるけど、その裏には闇がある。その闇の部分を魅力的に描いた作品でした。人の心の脆さ、恨みの深さ。感情の揺れ。
ほっ、やっと「怪童丸」に戻りましたね(笑)。
絵も、好き嫌いは別れそうですが、個人的には儚さを思わせる色合いの淡さや線の細さが凄くツボでした。
ラストはちょっと曖昧で、色んな風にとれるような気もするんですが、それゆえに、後に残る作品ですね。
かなり彼らの伝説について調べてしまった・・・(笑)。
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