「トウキョウソナタ」
![トウキョウソナタ [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/319S0Khqq7L._SL160_.jpg)
2008年/日本・オランダ、香港映画/監督:黒沢清/出演:香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海、井川遥、津田寛治、児嶋一哉、役所広司
公式HP:ttp://tokyosonata.com/
派手ではないが、心に残る。
そして、ひどく打ちのめされるだろう・・・
それが、映画館で予告編を観たときの予想。いつか、心に余裕があるときに観ようと思っていました。直感は正解だったようで、派手ではない賞を多く取っている作品です。
生活感に溢れたようで、それでいてどこか別世界のような家。どこにでもありそうで、実は隠れた多くの問題を抱えた家族。それぞれの家族の思いが次第に見えてくる。
印象深かったのは、家族での食事のシーン。
本当はお互いのことなど見えてない家族だけれども、それでも食事を皆で揃って食べるということで、繋がっているような気がしました。
日本映画チャンネルにて視聴したので、映画の後に監督へのインタビューがあり、インタビュアーの軽部さんがあの食事のシーンで、あの家族だけのルールと縛りがある、ということを印象付けられた、と言っていました。
ところどころ、コメディっぽい箇所もあり(役所さんとかね)、ただただ暗い映画というわけではありません。寧ろ、これほどにライトな空気感で描けるものか、と思いました。
笑う箇所は笑う、でも何か悲しい感情が心を占める。
その悲しさを優しく包み込むような、ラストが素晴らしい。
個人的に、ピアノに関する父と息子の言い争いを聞いていて、あまりに自らの記憶とリンクするもので、苦しかったです。
父親の香川さんの言葉に、記憶の中の傷をえぐられました。
家族という繋がりは本当に不思議で、あれほどに心がバラバラでも、どうにかして繋ぎとめようとしてしまう。
私はずっと、自分の家庭を砂の城だと思っていた。
でも、本当は既に崩壊してるものを繋ぎとめようとすることに、意味があるのかもしれない。
うーん、やはり凹む作品でしたね(笑)。
でも、とても心に残る映画でした。
予感的中。
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