映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「ぼくのバラ色の人生」
![]() 1997年/ベルギー・フランス・イギリス合作映画/監督・脚本:アラン・ベルリネール/出演:ジョルジュ・デュ・フレネ、ジャン=フィリップ・エコフェ、ミシェール・ラロック、エレーヌ・バンサン、ダニエル・ハンセン、ジュリアン・リビエール 7歳の少年、リュドヴィックの夢は女の子になること。綺麗な女の子のお洋服や人形が大好き。 でも、少年のささやかな夢は、家庭を壊し、家族を不幸にしていく。 長髪の似合う、可愛い男の子。7歳というと、ちょうど境目くらいなんですよね。女の子と一緒に遊ばなくなって、性別がはっきりしてくる頃。 小さなリュドヴィックには、分からない。 自分が女の子になりたいと願うのが、どうしていけないことなのか。 リュドヴィックはとても可愛かったけど、物語はとても切なかったです。 リュドヴィックの家族の心も、とてもよく分かる。リュドヴィックは可愛い息子で弟だけど、例えちょっと変わった子であっても大好きだけど、それでもやはり、生き難い。家族全体が社会から孤立してしまう。 可愛いからこそ、社会から孤立させたくない。でも、可愛いから、リュドヴィックの個性を認めてあげたい。 周りの人間がモヤモヤする中、リュドヴィックの望みはとても純粋なものなんです。 殻に閉じこもり始めたリュドヴィックが夢の中で観た世界は、とても綺麗で、それこそ、何故望むことがいけないのか、分からないほど純粋で・・・。 その夢が綺麗であればあるほどに、切なくなる物語でした。 それでも、何だか不思議だ・・・切ないのに、あの夢の美しさに、何だか救われた気がするのです。 PR
「サラエボの花」
![]() 2006/ボスニア・ヘルツェゴビナ・オーストリア・ドイツ・クロアチア合作映画/監督・脚本:ヤスミラ・ジュバニッチ/ミリャナ・カラノビッチ、ルナ・ミヨビッチ、レオン・ルチェフ、ケナン・チャティチ 公式HP:ttp://www.albatros-film.com/movie/saraebo/ ボスニア内戦から10年後のサラエボ。母娘二人きりで暮らす家族。 母親のエスマは娘のサラに、父親は戦死したシャビード(殉職者)だと説明している。 だが、学校の行事での旅行の料金が支払えないエスマは、シャビードの家の子は旅行料金が免除されると知りつつも、金策に走る。 小さな綻びから生まれるサラのエスマに対する不信感。 エスマが、サラに隠している重大な秘密とは・・・ 民族紛争の傷は、内戦が終わったあとも、深く傷跡を残しています。 エスマとサラの絆の深さや、エスマの瞳の奥にひそむ、拒絶する壁や、突然の激情や、ジャビードの子であることを誇りに思う子供たちの姿や。 古い友人は、サラの存在を知ることなく、エスマの母親が亡くなって良かった、と言いました。 でも、エスマとサラがじゃれて笑い合う、唯一無二の家族として心を寄せ合う姿を見ると、泣きたくなる。 悲しくて愛しい存在。(ネタバレ反転↓) エスマにとってサラは、敵の子であり、自分の子であり、たった一つの希望。やはり、希望なのでしょう。 強い憎悪によって行われた残虐な行為。でも、新しい生命は、人々の憎悪を超えた力を持っているのかもしれません。 荒れた大地の隙間から咲いた花が、太陽の下で輝きますように・・・ 苦しい。決して忘れてはならない。でも、顔を上げたくなる。サラの笑顔を見ると、心から嬉しくなる。 強く、心を揺さぶられる映画でした。
「DEAR WENDY〈ディア・ウェンディ〉」
![]() 2005年/デンマーク・ドイツ・フランス・イギリス合作映画/監督:トマス・ビンターベア/出演:ジェイミー・ベル、マーク・ウェバー、ビル・プルマン、アリソン・ピル、クリス・オーウェン、マイケル・アンガラーノ、ダンソ・ゴードン、ノベラ・ネルソン 「親愛なるウェンデイ。もし誰かが僕に致命的な一発を撃つなら、その弾丸は、君から発射されたものであって欲しい。」 恋人に愛を語るように、主人公はウェンディに語りかける。 純粋に愛を捧げ、殉じようとする主人公。彼がそこまで魅せられるウェンディとは、寂れた雑貨屋で玩具だと思って買った銃。何故か気に入って、いつも持ち歩くようになり、実は本物だと分かったときから、彼は銃に女性の名をつけ、特別な愛を捧げるようになる。 イマジカにて観賞。 主人公が、「リトル・ダンサー」の男の子なんですよね。正直、どこまで大きくなったかな~っていうのが観たくて録画したんですが、思った以上に・・・大きくなってるんですね。おかしいなぁ。リトル・ダンサーのときも、私既に社会人だったような気がするんだけど(笑)? しかもこれ、2005年製作だってのにな~(笑)。今はもっと大きくなってますね・・・。 これまた、舞台が「リトル・ダンサー」と同じく炭鉱の町なんです。炭鉱で働けない者は、負け犬扱いとされる町。 どうしても炭鉱で働くのがイヤで、店で働く主人公は、ウェンディを手にしたことによって、精神的に強くなれると感じるのです。 同じように負け犬扱いされている若者たちを集め、彼は秘密結社を作ります。その名も「ダンディーズ」。 クラシック銃の愛好クラブ。彼らに銃を携帯させ、ダンディーに生きようぜ!という趣向の集まりらしいです。 子供っぽく見える彼らの行動ですが、彼らは真剣そのもの。強くなるために銃を携帯する。そして、それがやがて破滅を導く・・・ 銃による平和主義をモットーとする彼らですが、結局は銃がもたらすものは、平和ではない。 一見、社会派の青春映画。だけどエンターテイメント性も出しつつ、観客の目を離さない作りになってます。ツッコミどころも多いしね・・・(笑)。 奇抜な展開ではあったのですが、彼らの銃に対する愛情を見ていると、何だか切なくなってしまいました。後に残るものは、切なさですね・・・。
「ダブリンの街角で」
![]() 2006/アイルランド/監督・脚本:ジョン・カーニー/グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロバ、ヒュー・ウォルシュ、ゲリー・ヘンドリック、アラスター・フォーリー 公式サイト:ttp://www.oncethemovie.jp/ もう少しゆっくり変わってくれたら 君の嘘がぼくにも分かったのに アイルランドのダブリンが舞台の、音楽によって生まれるラブストーリー。 最近のアイルランド事情はよく分かっていなかったのですが、どうやら昔のイメージとは少し違うようですね。 かつては貧困のイメージが強いアイルランドでしたが、今では移民を受け入れることのできる豊かな国になっているよう。 この映画の主人公の男性は、ダブリンのストリートミュージシャン。女性は、チェコからの移民で、音楽・・・は詳しかったけど、勉強していたのは、チェコにいた間のことでしょうね。 なんと、この映画。 驚くことに、最後まで主人公の男女の名前が明かされません。 エンドクレジットで改めて気づいて、驚きます。でも、そんなものは必要ないほどに、彼らの関係性は、音楽で築かれていた。 音楽があったから、観客には他のものは必要なかった。 音楽を間にして、心を通わせながらも・・・なんと微妙な距離感! その終わり方には本当、震えましたよ。 この映画は、アカデミー賞最優秀歌曲賞を受賞しています。 大きく納得、の作品です。サントラ欲しい。
「オール・アバウト・マイ・マザー」
![]() 1998/スペイン/監督:ペドロ・アルモドバル/出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデス、ペネロペ・クルス、アントニア・サン・フアン、ロサ・マリア・サルダ シングルマザーの母親マヌエラと17歳の息子エステバン。 一緒に映画を見たり舞台を観に行ったり、待ち合わせをしてるときのお母さんの美しさといったら、恋人同士みたいな雰囲気すらある。 そんな中、冒頭始まってすぐ、エステバンが亡くなってしまう。 諸事情により、父親には子供の存在を明かしていなかったのですが、息子の思いを知ったマヌエラは、父親にそのことを伝えに行くことにする。 この監督さんの作品、好きです。雰囲気や作り方も印象的。映像的にも美しい。 一言で言うと、女性賛美の映画。 もっと的確に言うと、母親賛美の映画。 この監督さんにとっては、女性=母親なのでしょう。 全ての女性、そして女性になりたいと願う男性のなかにある、母親の強さと愛情深さを、賛美した作品。あの強さのなかには、どれだけの悲しさがあるのか。 勿論、全ての女性なんて言うと語弊があるんだろうけど。 私も、あの強さに憧れるから、母親になりたい(いつか、ね。笑)って願うのかもしれません。 |
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