「ピアニスト」
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2001/フランス・オーストリア/監督:ミヒャエル・ハネケ/出演:イザベル・ユペール、ブノワ・マジメル、アニー・ジラルド、アンナ・シガレヴィッチ、スザンヌ・ロタール、ウド・ザメル
俳優さんたちがこぞって出演したいと願っているというミヒャエル・ハネケ監督の、カンヌ映画祭でグランプリをとった作品。というわけで、楽しみにしてました。いやー・・・グランプリ取ったの、分かります。これは、すごい!色んな意味で。
私は、「71フラグメンツ」という映画しか観たことないんですけども。
「71フラグメンツ」のときも思いましたが、印象的なラストで説明一切なし!これぞ、フランス映画ですね(笑)。見る人によって、解釈が違うでしょう。こういうの、ズルイな~と思うけど、好きです(笑)。
イマジカ(ケーブルの映画チャンネル)では、最初に“point of view”というのをご親切に教えてくれるのですが、観る前だと内容が分からないので大体はサラリと流しますよね。観た後で、もう一度見てみたら、「物語自体は普遍的な内容」とある。いや、とてもそうは思えませんでしたけども・・!それが、ハネケ監督の手腕でしょうか。
いやぁ、ツッコミどころ満載!観ながら、何度も画面に向かって「はっ、何でっ?!」「そうきたか・・!」と呟いてました。ある意味、映画館でなくて良かったかもしれません。
カンヌでも、大爆笑が起こったらしいですよ。
でも、見る側にそれだけの余裕がなかったら本当に痛々しい物語です。
コンサートで弾くピアニストになるために母親に厳しく管理されて育った中年女性のエリカ。その夢破れて、音楽大学の大学院でピアノ教授をしている彼女は、環境と自責の念からか、倒錯した性的趣味を持ってます。
ある日、ピアノの才能溢れる美青年ワルターと出会い、彼はエリカに恋をして熱心に彼女に迫るようになるのですが・・・
才能に溢れてて、ハンサムで、自信に溢れた風なワルターが、冷たい表情を崩さない知的なエリカに惹かれるという設定は、かなり好みです。
普通の女の子じゃあ満足しないタイプですね、ワルター。
ですが、彼の計算外にエリカは個性的でした(笑)。
彼の情熱は凄かったです。普通は、あそこまではできませんよ。そのくせ、意外と中身は優しくてピュアですからね~。
エリカに振り回されるワルターが可笑しくてなりませんでした(笑)。
(ネタバレ反転↓)
エリカは、支配したかったのか、されたかったのか。
母親からの管理から逃れたかったのか、そうじゃなかったのか。
エリカの態度がコロコロ変わるので、私のほうがついていくのに必死でした。
ワルターを愛していたのは、本当でしょう。
だからこそ、全てを告白して、自分の醜さを知って欲しかった。
では、次の日にワルターを訪ねて懇願したエリカが、ワルターが彼女の願いをかなえるために現れたとき、ワルターを拒んだのは、何故?
言ってることと、本心は違ったということ?
わっかりにくいなぁ、この人は(笑)。
また、ワルターもよく分からない。
あんなに嫌悪を露にしてたくせに、彼女の願いを聞き入れようとする。それは、エリカへの愛ゆえなのでしょうか。始めはそう思って見ていたのですが、何やら、彼も実際エリカに引き摺られて、目覚め始めてるようにも見えてきて・・・。
どっちなの(笑)?!
二人とも、どこまでが演技で、どこまでが本当?
感動するところなのか、笑うところなのかが分からないよ!普通ではない恋愛ですが、エリカを見ていると、こうなってしまうのも仕方ないように思えてしまう。エリカの痛みが、すごく強く胸に刺さります。
情感溢れるシューベルトを愛するエリカは、冷たい外見とは裏腹に、激しい感情を抑えこんでいたのでしょう。
「シューベルトは、とても醜かったのよ。」
この監督の作品に出たいと思う俳優さんが多いのは、分かる気がしますね。難しい役柄です。
ハネケ監督の作品、他にも録画してあるんですが、続けて観るのはちょっと精神的に疲れそう。心休まる作品を見てから、見よう・・
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