「カフカの「城」」
![カフカの「城」 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/513G9taj3aL._SL160_.jpg)
1997/オーストリア/監督:ミヒャエル・ハネケ/原作:フランツ・カフカ/出演:ウルリッヒ・ミューエ、スザンヌ・ロタール、フランク・ギーリング、フェリックス・アイトナー、ニコラウス・パリラ
何と評価の難しい映画でしょうか!
フランツ・カフカの原作を読んでいる方には、その忠実ゆえにすごく好評らしいです。
でも、私は読んでいないので、純粋に映画作品として見ました。とにかく、変な作品!
城に招かれて測量技師としてやってきた「K」。でも、城から正式な命令がないまま、“測量技師を呼んだのは手違い”だったと村長から言われる。城に足を運ぼうとしても、霧が濃くて城に辿り着く道がみつからない、連絡方法は伝達係の青年のみ。それなのに彼が持ってくる伝達はいつも決定的ではなく、Kが伝達係に頼んだ言伝は、「伝えることが出来なかった」というもの。
酒場によく来るという城の当主と直接会おうとしても、何らかの邪魔が入っていつも実現しない。
また、Kの助手の二人が不思議。
古くからのKの助手だったと言っているけど、名前も知らなかったし、最後の方で、Kがこの村で出会った恋人フリーダの幼馴染だということが判明する。や、Kは遠くから初めてこの村に来たはずですけど・・・そんな偶然があるでしょうか。
村の人に城について聞いても、とにかく曖昧な答えしか返ってこない。
主人公といっしょにイライラする物語です(笑)。
とにかく、助手二人がウザい!どう見ても大人なのに、5歳の子供みたいな言動。あの二人が、主人公と私のイライラをどれだけ逆撫でしたことか(笑)。
こういう物語を映画として表現できるハネケ監督はすごいなー、と思いました。やっぱりこの方の鬼才ぶりはただごとではないようです。
追い込まれ、追い込まれ、どんどんイライラが募る主人公。
こんな物語で、最後はどうなるかと思うでしょう?
(ネタバレ反転↓)
カフカの「城」という作品は、未完であるとは知っていました。
が
本当に何の解決もなくプッツリ切れるとは思わなかった!!忠実すぎ!!
ふっつーに物語の途中で、突然暗転して、「カフカの草稿はここで終わっている。」ですよ。
ちょっとー!このモヤモヤはどうしてくれんのよ!
結局、「城」って何だったの、測量技師はどうなったの?!
オリジナルストーリーでいいから終わらせてくれるものだと信じていたのに!
(原作読んでないから納得したのに~!)
あの潔さに本当、驚きました。こんな前代未聞の作品、難しくて評価できないよ(笑)!
「ちょっと!」と思いましたが、かなり新鮮でした。私は、この潔さ、好きですね。原作を愛していらっしゃるのでしょう。
この映画は、あくまでもカフカの「城」であって、ハネケの「城」ではないわけです。
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