映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「山の郵便配達」
![]() 1999/中国/監督:フォ・ジェンチイ/原作:ポン・ヂェンミン/出演:トン・ルーチュン、リィウ・イエ、ジャオ・シィウリ、ゴォン・イエハン、チェン・ハオ なんて美しい映画だろう。 というのが、一番の感想です。 1999年の中国アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀主演男優賞を受賞した作品。 中国の田舎の山間部を、歩いて郵便物を届ける仕事をしてきた父親。ほとんど家にいない父親に、距離を感じ続けていた息子。 このたび、息子が郵便配達の仕事を受け継ぐにあたって、父親がこれまで辿ってきた郵便配達の険しい道のりを、二人で歩くことになる。 山道の予想以上の険しさ、また郵便配達の仕事への誇りを見るうち、息子の父親への気持ちはだんだんと変わってきます。 長い辛い道のりと、二人の気持ちの変化。 またさ、上手い具合に過去の記憶の映像を入れてくるわけですよ。 息子を見ていて、父親を見ていて、過去の記憶が呼び起こされる。 溢れるほどの、愛しい感情。 そのときの彼らの気持ちが痛いほど伝わってきて、胸に迫るものがありました。 川を渡るときのシーンはもう、ジーンとして涙が出そうでしたもの。 ラストの、息子が郵便物の袋を背負うシーン。あのシーンの彼の、前だけを見つめた、何かふっきれたような表情。あの表情を見るための旅だったんですね。 中国の深い自然は美しく、郵便配達の衣装もまたステキでツボでした。 こんな美しい映画は観たことないと思いました。 号泣するほど泣ける映画ではありませんが、じんわりと暖かく、前向きな気持ちで観終える映画です。 この映画は、手離しでオススメしますよ。すっごい、良い映画です。名画のひとつです。 PR
「風が吹くまま」
![]() 1999/フランス・イラン/監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ/出演:ベーザード・ドーラニー、シアダレ村の人々 珍しい葬式の取材のため、山奥の村にやってきたTVクルー。 瀕死の状態のお婆さんの死を待ちながら、村に滞在するのですが、お婆さんは中々死なない。 日常的にルーティン的に進んでいく中で、主人公のTVクルーの男性の心情が少しずつ変化していくのが伝わってきます。 仕事のために、苛立ちを隠せない気持ちと、村の人たちとの交流の中で、少しずつ彼らを好きになってる気持ちと。 死を待つ自分の浅ましさと。 「桜桃の味」もキアロスタミ監督の映画ですが、死を扱うことによって生の輝きを見せるという意味で、テーマが同じなのかな。 私たちは忙しすぎて、生きることを楽しむことを忘れてる。 ラスト近くのお医者さんの言葉が、すごく胸を打ちます。 淡々とした映画ですが、会話がとても面白いし、風景がとても綺麗で飽きません。 井戸を掘る男性(最後まで顔が出てこない!)との会話が絶妙でした。 初対面でああいう気の利いた会話ができるのって凄いなぁ! テーマの扱い方が、ハリウッドよりは日本映画に近い感じがします。 イマジカの“POINT OF VIEW”によると、この監督さんは小津安二郎監督のファンなんですって。へぇ~~
「フェーンチャン ぼくの恋人」
![]() 2003/タイ/監督:コムグリット・ドゥリーウィモン 、ウィッタヤー・トーンユーン 、ソンヨット・スックマークアナン 、ニティワット・タラートーン 、アディソーン・ドゥリーシリカセーム 、ウイッチャヤー・ゴージウ/出演:チャーリム・タライラット 、フォーカス・ジラクン 、チャルーモポン・ティカマポーンティラウォン 公式サイト:ttp://www.excite.co.jp/cinema/special/fanchan/ 監督多! タイの映画です。最近の子はどうか分からないですが・・・私以上の年代の方は、きっととても共感するはずです。 かわええのよ~!! むちゃくちゃ、かわええんですよ!! 母親からの、ノイナーの結婚式の招待状が届いたという電話から、ジアップは10歳の頃の自分とノイナーを思い出します。 ずっと忘れて過ごしていた、思い出。 でも、いつまでもずっと輝き続ける、思い出。 初恋映画としては、今まで観た中で一番かもしれません。 幼馴染のノイナーと、生まれたときから一緒のジアップ。近所に女の子しかいなくて、遊び相手はいつも女の子ばかり。 でも、10歳の男の子が、女の子の遊びで満足するはずはないでしょう。 ちょうど、遊びが分かれる頃ですよね。 ゴム跳びやままごとをする女の子、サッカーやちゃんばらごっこをする男の子。何か、私の小さい頃と同じ遊びだなぁ(笑)。 2歳年上のジャックというガキ大将。タイには、小学生にも留年制度があるんですね~ デブで無法者のジャック。でも、たま~に、妙に友情固いあたりが、ジャイアンを思い出させます(笑)。ジアップをからかう表情が本当にムカつく(笑)。 ジャック率いる男の子たちのグループに入りたいジアップでしたが、男の子たちは、ジアップをオカマ扱いして入れてくれません。 ジアップは、ノイナーと悪ガキたちと、どちらを選ぶのでしょう。 本当、男の子って可愛い・・・!! 悪ガキグループの男の子たちのシーンに、もう、悶えまくってました。 窓開けて「お前ら可愛すぎ~!!」って叫びたくなりましたもの。 ジアップ役の男の子の顔立ちもタイプだったのですが、何故あの可愛い子が大人になったらああなるんだ・・・ まぁ、可愛い顔立ちの少年顔の男の人、ではあったかな。 ものすんごいヒットでした。 これは、かなり手離しでお薦めです。万人ウケする映画だと思いますよ。
「パンと裏通り」
![]() 1970/イラン/監督:アッバス・キアロスタミ/出演:レザ・ハシェミ、メヘディ・シャハヴァンファール キアロスタミ監督の処女作。故・黒澤明監督が「うまい人は最初からうまい」と賞賛したらしいです。 最初にことわっておきますが、上のDVDは「パンと裏通り」のほか、「トラベラー」という作品がいっしょに入ってますが、私はDVDではなくケーブルで見たので、私が観たのは「パンと裏通り」だけです。 僅か13分の短い作品。 おつかいでパンを買って家に帰る少年の帰路。しかし、帰り道には犬が立ちふさがり、少年が通ろうとすると激しく吠え立てます。 大人が通っても何もしない犬を見て、少年は誰か大人が通るのを待って、一緒についていこうと計画します。 少年は一言も喋らず、ただただ、彼の表情や動きや、時間の経過で、彼の焦りや恐怖が伝わってきます。 チャンスを待つ少年が感じる、時間の長さ。 たった13分の映画のなかで、私たちは子どもの頃に感じたリアルな感情を思い出すことができるんです。凄いですよね。 オチは結構面白かったです。予想以上に微笑ましい結末(笑)!
「あの子を探して」
![]() 1999年/中国/監督:チャン・イーモウ/出演:ウェイ・ミンジ 、チャン・ホエクー 、チャン・ジェンダ 、カオ・エンマン これ、皆さん本人役で出てるんですね~! や、物語は作ってあるんでしょうが(どうなの?)、自分の名前の役のようです。 ある山村の小学校の先生が、母親の病気で長期休暇を取る間の代用教員として、ミンジという少女を連れてきます。 教師というには、あまりに幼い。中学1年生くらいでしょうか? 子供たちがどんどん学校を辞めていく環境のなかで、1ヶ月の間誰もやめなかったら、お金をあげる、と言われたミンジは、必死になって子供たちを見張ります。 最初の頃は、ミンジの幼さに腹を立てながら観てたんですよ。 どう見ても、子供が子供を教えているので、あぶなっかしい。むしろ、学級委員の女の子の方が大人なのでは・・と思わせられるシーンもあり。 とにかく、アバウト。 そして、子供を学校に引き止めることに関して、すごく頑固。 でも、ミンジにしても、病気の母親の代わりに代用教員として来たのです。お金にあれだけ固執する彼女を見ると、中国の山村の貧しさを思い知らされます。 そして、問題児ホエクーが、ある日いなくなる。母親が病気になったので出稼ぎに出たのだということでしたが、一人も学校を辞めさせてはならないと、ミンジは街までホエクーを迎えに行く決心をします。 印象的だったのは、街での大人たちのあまりの冷たさ。 急激に発展を遂げている国だからこそ、貧富の差が激しく、そのことに無頓着になるのかもしれません。枯れ草に緑色のスプレーかけて、“緑化計画”とか言う国だからなぁ・・・ 高度経済成長時の日本を何となく彷彿とさせる気がします。。 少ない手段で、どんなに冷たくあしらわれても、一途に食い下がるミンジに、頭が下がります。 ドキュメンタリーを見ているようで、だからこそ、ラストのホエクーに心を動かされるのでしょう。 |
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