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映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「かもめ」

かもめ [DVD]

2008/舞台/演出:栗山民也/原作:アントン・チェーホフ/出演:藤原竜也、鹿賀丈史、美波、小島聖、麻実れい 他

公式HP:ttp://hpot.jp/kamome/

the・ロシア文学という感じでしたね~。とにかくとっつきにくく、言ってる意味が分からない上、どれがジョークなのか分かりにくい(笑)。多分、意図と違う場所で笑いそうでした(笑)。
あと、名前!長すぎなんだって!ロシアは愛称がありますしねー。コンスタンチン=コースチャって中々結びつきませんでした。
全くの予習なしで行ったのですが、確かに予習は必要でした。時代背景が良く分かってなかったので、ロシアの文化人にとって、都会に住むということがどれだけ大切なことなのかが、分かっていなかった。後でパンフ読んで知りましたよ。あと、トルストイの名がたくさん出てきましたが、チェーホフにとって非常に尊敬する文学者だったことも。
終わったあとで、「あれ・・・直接の原因は何だっけ?」って考え込みましたもの。
どっち?ニーナのこと?それとも、自分の才能の限界を感じたから?両方?

作家志望の青年と、有名女優のその母親、その母親の恋人の売れっ子作家、売れっ子作家に惹かれる女優志望の少女。
芸術というものに翻弄される人間達を描いたもので、これは、おこがましいですけど、創作を試みたことがある人は、ちょっと気持ちが分かるかもしれない。
ネタバレ反転↓
コースチャの、芸術に対する新しい形態への熱意。自分の才能を信じる彼の熱情。でも、若くて不安定で、確かに“何か”を持っているのに、それを形にするだけの経験と実力を持たない。
コースチャの才能が実を結ばなかったのは、田舎でくすぶってたからだということでしたが・・・そうか、そういうものなのか。確かに、誰かに言いたいと、出てくる言葉は色んな人とぶつかって、話して、袖触れ合って生まれるもの。毎日同じ人間としか会わない生活では、中々に難しいのでしょうか・・・。
そういう生活だったから、彼の戯曲には生きている人が出てこないのか。
でも、コースチャの結構可哀相な境遇は、文学で実を結ぶには充分のような気がするけど。
お母さんとの激しいシーンは笑えましたね(笑)。25歳って言ってなかったか?それにしては甘えたさんだなぁ~~。お母さんが服買ってくれないからボロ着てるって言ってましたが。

仕 事 し ろ

とツッコんだのは、私だけではないでしょう。
文学を目指してたから、それ以外のことをする気はなかったっていうことかな。

コースチャが自分が作った戯曲を母親に見せたときの、母親の態度は本当ひどいです。あれは創作意欲をなくしますよ・・!子供の夢を踏みにじる、親として絶対してはならないことです。
いや、しかしほんと・・・結局は似た者親子だなって思いましたよ。あの勝手さ加減。甘えた加減。

退屈で平和な生活を一変させたのは、母親の恋人トリゴーリンの出現でした。
売れっ子作家で、母親の恋人で、コースチャの好きな女の子ニーナの心まで奪ったトリゴーリン。
コースチャの何もかもを奪い去って行った彼は、コースチャに新たな混沌を与えました。
ちなみに、このときコースチャが自殺未遂したのは、全てを奪われて自分には何も残ってないという、衝動からですよね?

トリゴーリンがまたくせもので、アルカージナには絶対服従、ニーナには弱みを見せたりして、非常に上手く生きている。
作家としての彼の腕がどれだけのものかは分かりませんが、彼は民衆の心を掴む方法を知っていたのでしょう。芸術に対する純粋さ、透明さでいえば、コースチャのほうが上だったかもしれない。でも、それを民衆に認めさせる力がなかっただけ。

そして、コースチャの望み全てをトリゴーリンがモスクワに持ち去ってから、2年後―――。
ここで再会したことで、コースチャとニーナの決定的な別れがはっきりしたのですね。
傷つき、その中から立ち上がったニーナの力強さ。その変化で、ニーナと自分との間に大きく開いた分かれ道を感じたコースチャは、死を選ぶ。
分かるような、理解してあげられないような物語。
ここから立ち上がるだけの強さがあれば、もっと先でニーナと会える未来もあったかもしれないし、文学的にも伝えたいことが形にできたかもしれない。


それにしても、終わったシーンがよく分かったなぁ、と思うくらい素早く拍手が沸きおごりましたが、そうか、初めてじゃない人がたくさんいるんですね・・(笑)。
竜也くんの舞台は初めてで、彼の舞台の凄さは、前評判で相当期待していたのですが、確かに彼の放つ空気はすごいですね。
いやー、しっかし綺麗な顔しとってよー、本当。
舞台上・・ストーリー上であんまり笑顔が観れなかったので、カーテンコールでの笑顔にキュンとしました(笑)。
小島聖さんの頭の小ささにびっくりしました。綺麗ですねー!麻実れいさんは、さすが元宝塚。あのちょっと下品な貴婦人喋り、凄い色気で印象的でした。

とっつきにくいし、分かりにくかったけど、不条理コメディよりは、断然こっちのが好きですね(笑)。
それに、実は(?笑)純文学って結構好きなんだ。
あ、知ってる?あ、そう~(笑)。

後でパンフを観てびっくりしたのが、トリゴーリン(鹿賀さん)が30代後半ってことと、マーシャと結婚した先生が30代前半だったってこと。

・・・いや、それは説明してくれないと見た目じゃ分からない(笑)!
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