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映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「都会のアリス」
都会のアリス [DVD]

1973年/西ドイツ/監督:ヴィム・ヴェンダース/出演:リュディガー・フォグラー 、イエラ・ロットレンダー 、リサ・クロイツァー 、エッダ・ケッヒェル

んー。
落ち込んだときに観る映画ではない気が・・・
なんだか落ち着かなくなる映画です。ドキドキする。
静かに流れていく映画なのですが、不安が常につきまとう。白黒映画であることもその不安に拍車をかけているのかもしれません。何だろう。昔の映画を見ると、何となく自分がどこにいるのか分からなくなってしまうような感覚になってしまうんですよね。

旅行記の執筆のためにアメリカに来ていた青年が、帰りの空港でアリスと母親に出会います。母親がアリスを置いて消えてしまったため、アムステルダムでアリスの祖母を探す旅をする、というストーリーです。
見たままの姿が映らない、と写真をひたすら撮る青年。そんな彼に、友人の女性は「あなたは自分の存在してる証拠が欲しいの。自分が体験してるものが特別だと思いたいのよ。」と、言う。
夢を追い、夢と現実のギャップに馴染めない青年と、孤独に慣れきった現実的な幼い少女は、正反対のようでどこか似ているような感じがする。
寝る前にお話して、とアリスにねだられて青年が話した“母親とはぐれた少年の話”にもう、ドキドキが止まりませんでした。興味惹かれるものに夢中になって、遠い海に来てしまってから、ふと母親とはぐれていることに気づく。誰もいなくて、自分ひとりだけ。なんて、怖い、話。

映画の間中、終始ふてくされたような表情のアリスが、ラスト近く、自分と青年が二人で映っている写真を見て微笑む。どこか、自分と共通したものを感じたのでしょうか。

彼らの旅がどこに行き着くのか、本当に想像ができなくて、不安な気持ちにさせられました。
祖母を探す旅は終わったけれど、これからも二人の空虚な旅は終わらない。通り過ぎていく時間が本当、怖くて、怖くて。
ほんっと怖い映画でした・・・。
でも、すごい映画でした。
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新潮文庫の100冊 2010
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