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映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「アンナとロッテ」
アンナとロッテ [DVD]

2002年/オランダ、ルクセンブルグ/監督:ベン・ソムボハールト/出演:テクラ・ルーテン 、ナディヤ・ウール 、エレン・フォーヘル 、フドゥルン・オクラス 、ユリア・コープマンス

親を亡くし、幼い日に引き裂かれた双子が、それぞれ辿る運命。
結核で身体の弱かったロッテはオランダの裕福な親戚に引き取られ、一方アンナはドイツの貧しい農家に働き手として引き取られました。
虐待を受けるアンナと大切に育てられるロッテ。ある日ロッテは、送ったはずのアンナへの大量の手紙が書棚の奥から出てきたのを発見して、アンナに会いに行くことを決心します。
そしてそのとき、彼女たちは完全に道を分かつことになるのですが・・・

運命に翻弄された双子、それぞれどちらが幸せだったのかとか、そういうものは全く問題ではありません。
彼らを引き裂いたのは、天の授けた運命と、人が作り出した悲劇。
(ネタバレ反転)↓
二人を引き裂いた決定的な事柄は、アンナがロッテの婚約者がユダヤ人であることを指摘したことでした。
ドイツに住むドイツ人のアンナにとって、ユダヤ人差別の視線があって当然のこと、けれどオランダで非道なドイツ人を敵視する環境の中で暮らすロッテにとっては、自身がドイツ人であることですら嫌悪感を抱いてるわけです。一番大切な相手を、自分の半身が侮辱したこと。それは、ロッテにどれだけの傷を与えたことか。
老人になって再会したロッテを追いかけるアンナの叫んだ言葉が胸に刺さります。
「私たちが分かり合えないで、世界はどう分かり合うの?!」

お互いを愛しているのに傷つき、傷つけ合う二人。
二人が手を取ったとき、暖かな気持ちになりました。けど、未来への明るい光が見えるとまでは、到底言えません。それほどに人の業は深く、憎しみの連鎖は固く結ばれたままの世界であるように思えます。
世界は、どうなるのかな。
でも、お互いの手を取りたいと願っていれば、希望だけは失わずにすむのではないかと思います。
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新潮文庫の100冊 2010
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