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映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「フランスの友だち」

1989年/フランス/監督・脚本:ジャン=ルー・ユベール/出演:リシャール・ボーランジェ、アントワーヌ・ユベール、ジュリアン・ユベール、ジュディット・アンリ

個人的には、物凄いツボな作品でした。
主人公の男の子二人、特に兄の方が物凄い美少年だったのですが、この兄弟は監督の息子さんらしいですね。 兄のアントワーヌは、前作「フランスの思い出」にも出演されているようです。あの子がこんなに大きくなったのかー!
舞台は、第二次大戦末期のフランスの小さな村。
この男の子たちが、うっかりドイツ軍とアメリカ開放軍を見間違えて村の人々に伝えたため、村長が撃たれて亡くなってしまうのです。わざとではないんですが、あまりの重大事に村の大人達が子供たちの処分を話し合い、それを聞いた子供たちは逃亡するのです。
この兄弟がまた悪ガキでですね~(笑)。逞しいったらありゃしない。
逃げるために洗濯物を盗むのですが、うっかり女の子用のワンピース。美少年アントワーヌは、途中からスカートを履いています(笑)。むちゃくちゃ可愛いんだ、これが!!
逃亡中に出会う、一人の負傷したドイツ兵。戦争が2回目だという彼と心を通わせていく、そんな話だと思っていました。

ラストに、あんな衝撃的なシーンが待っているとは。
(ネタバレ反転↓)
彼らが立ち寄った、ゴーストタウンのような町。その不気味さは、私をものすごく不安にさせました。
何かが、変だ。
そういえば、読んだことがあるのです、私は。「朗読者」という小説で、この町の様子によく似た風景を。
ドイツ兵のフランツ(だったかな?)は少年達を寝かせたあと、近所の家を回って、逃亡に必要なものを拝借するのです。このときの音楽の不気味なこと!不安を駆り立てる音楽。
翌朝、彼は犬に導かれて教会の中へ。その中の衝撃的な風景・・・

あまりの衝撃的な映像と、彼の神様に向かって叫ぶ言葉に、胸が苦しくて涙が止まりませんでした。
あまりの突然のことに、言葉もありませんでした。
これが、戦争。これが、リアル。

人の温かさと、戦争がもたらす人の非情さと。
ラストのそのシーンまで、あまりに心温まる物語だったゆえに、その突然さが背中合わせのリアルを思い起こさせ、現実の怖さに震えました。ガツーンと頭を打たれたような気分です。
そうなんだ。今でも、地球上の色んなところで、このような恐ろしい現実が行われているのです。
そのことを、私達は忘れてしまってはいけない。
人間の幸せがどこにあるのか、忘れてはいけないのです。
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「江戸の青空 〜Keep On Shackin'〜 」

2009/北九州芸術劇場Produce/企画:AGAPEstore/演出:G2/脚本:千葉雅子/出演:西岡德馬、須藤理彩、中村まこと、松永玲子、戸次重幸、有門正太郎、中井出健、蘭香レア、小西遼生、いとうあいこ、松尾貴史、柳家花緑、植本潤、吉田鋼太郎

劇場にて観賞。
上方落語をいくつか組み合わせて作られた物語。
落語をよくご存知の方からしてみると、(多分有名どころなので)知ってる話同士がどう結びついていくのか見て楽しい物語だと思われます。
私は、落語には全く詳しくないのですが、それでも物語自体がちゃんと筋立っていたので、それのみで楽しめましたよ♪
最後、「ああ~!」という声と拍手で終わる舞台というのも、落語を基にした物語ならでは、ですね。

物語の舞台は、江戸時代末期。お店のお金を落としてしまった文七(小西遼生)。言い出せないままに、いつの間にか、嫌疑は偶然店に居合わせた、柳屋格之進(西岡德馬)に向かう。が、実はそのお金を偶然拾ったのが、ダメ亭主の勝五郎(戸次重幸)。浮かれる勝五郎だが、やりたい放題遊び呆ける勝五郎を見かねた妻(須藤理彩)は、同じ長屋の道場の弟子、山坂(植本潤)と一計を案じ、お金を仏像の中に隠してしまう。
そうとは知らぬ道場の師範(吉田鋼太郎)から、お金を入れたまま、仏像は色んな人の手を渡っていく・・・

多分、落語をご存知の方は、これを見ただけで、既に多くの話が交ざってることがお分かりでしょう。(私は後でパンフで確認したんだけど)
上手く一つの物語に作り上げられていて、とても面白かったです。

私が観に行った回は、どうもハプニング続きだったようです(笑)。
小道具が壊れるわ、逆に割れなきゃいけないものは割れないわ、うっかり落ちてしまうわ。
それを上手く笑いに持っていくアドリブ、さすがですね!!

柳屋さんと松永さんの夫婦のやりとりが凄く可愛くて好きでした。ハプニングその3はこのお二人のシーンでしたよ(笑)。

戸次さんも松尾さんも凄く良かったんですが、私、この舞台で植本さんのファンになりました(笑)!!!
なんて、なんて可愛い動き!テンション高くて跳ねてて、最後までその動きの可愛さにうっとりしてましたよvv
誰だ誰だ、と思って後でパンフで調べたら、花組芝居の方だったんですねぇ・・・!うわーうわー、「百鬼夜行抄」で律のお祖母さん演じられてた方だ!
役によって、本当に色んな印象になられるんですねぇ。

豪華キャストと豪華な物語。ほんとゴージャスな舞台でした!
「カムイ外伝」
2009/日本/監督:崔洋一/脚本:宮藤官九郎、崔洋一/原作:白土三平/出演:松山ケンイチ、小雪、大後寿々花、金井勇太、土屋アンナ、PANTA、芦名星、佐藤浩市、イーキン・チェン、伊藤英明、小林薫

公式hp:ttp://www.kamuigaiden.jp/top.html

映画館にて、舞台挨拶と共に観賞。

舞台は備中松山。現在の岡山県高梁市のあたりですね。奇島ってのも聞いたことありますよ。実在する場所じゃないっけ?
思いっきり岡山弁でしたね。

原作は、「カムイ伝」「カムイ外伝」とあって、かなり長編の漫画らしいです。私は未読です。
設定のおおまかな説明は冒頭で語られます。
“非人”の家(江戸時代に作られた身分制度のえた・ひにんのことでしょうね)に生まれ、人間扱いされない子供時代を過ごしたゆえに、強くなりたいと望み、忍の世界に入ったカムイ。でも、忍の世界での殺戮の日々や非常な掟に苦しみ、忍びの世界を捨て、抜け忍として元仲間に追われる立場となる。
この映画は、カムイ(松ケン)逃亡生活のなかで辿り着いた漁村で、偶然かつての仲間だった抜け忍スガル(小雪)と出会うところから始まる。

長い物語の中の、一部分のせいかな・・・
ちょっと(いや、かなり)説明不足な感じが・・・(汗)

疑問は尽きません。ネタバレ反転↓

とりあえず、何故半兵衛はわっざわざ領主の馬の足を切ったのか(白かったから?)。他に白い馬がいなかったんかな。
半兵衛を救い出したあとに行った島は、最初に住んでた島とは違うんだよね・・・?あまりに馴染みすぎてやしないか?
瀬戸内海なのに、島がねぇぇぇ(沖縄ロケだからしょうがないけど。笑)!多少なりとも、うっすらと対岸に見えるはずだが・・・。
伊藤英明はいつから渡衆と行動を共に?!抜け忍たちを一網打尽にするためにワナをはってたんだろうけど・・・
つか、案外逃げきって生きてた抜け忍多いな(笑)。こんだけ漏れてたら、秘密も何も・・・もう見逃していいんじゃないの(笑)?
まぁ、仲間への見せしめもあるんでしょうけども。。
つか、わざわざ大頭自ら追うんだ?!仕事はないの?!・・・ないのかもしれませんね。だからこその、太平の世が生んだ病んだ時代なのかも。
伊賀の忍者らしいけど、備中松山城主に雇われてるのかな?だとしたらこの国から出たら、そうそう大頭自ら追ってくることないんじゃ・・・カムイ、もっと遠くに逃げたらどうかしら?

あと、大前提になりますが、壮絶な過去を抱え、同郷出身の仲間の忍者の女の子や、元仲間を殺してまで、カムイが生き続けたいと願うのは何故だろう?私ならとっくに生きることに絶望しそうだけどな。
半兵衛や半兵衛の家族のような人間に出会うと、欲が出るんだろうか。
生きたいと願う心は、幸せな時間を手放したくないという欲望からですよね。もしくは、何かしなくてはならないことがある場合。
でも、カムイの過去を思うと、そこまで執着する理由がみつからない。逃げた先で何をしたいのかも分からない。どこかに自由が、と希望を失わずにいられる理由を描写して欲しかったな。2では、是非。
原作では、どこかに描いてあるんでしょうね~。
原作をちゃんと読んでみたいです。

しかし、あれですね・・・。スガルが逃げてから14年後ってことは、サヤカは14歳より下なんだ・・・。

江戸時代のいつの話かは分かりませんが、武士が武士らしさを失ってるときなのかもしれませんね。制度にしばられ、精神的な志もなく、何のために生きているのかわからない。
そんな病んだ世界に生まれた歪みの部分、犠牲者たちの物語。
うーん、そういう意味では今の時代とリンクして考えられるか。
や、でも、そうならそうともう少し説明が必要だったかも?私は時代劇慣れてるし、ある程度の前知識あるから、想像で補ってるけども。私の想像も見当違いかもしれんしな!
うちの同期は、忍の世界のあの執拗な厳しさの理由も知りませんでしたよ。

役者陣は最高でした!
松ケンのカッコ良さはもう、痺れるほどでしたし(怪我で撮影が半年ストップしたのも頷けるアクションの激しさでした)、佐藤浩市は佐藤浩市だと途中まで分からなかったし。
土屋アンナも凄かったですねぇ。

あとは、とにかくアクションシーンが残酷・・なのがちょっと。
人を殺すことに、見た目の軽い重いはないけどもさ。しっかり残酷にすることが必要だったのかもしれませんけど、あれは・・・PGつけた方がいいと思うよ。本当。

題材と役者陣が良かっただけに、残念です。もう少しやり方があったんじゃないかな、と思わずにいられない。
「狭き門より入れ」

2009/Team申/作・演出:前川知大/出演:佐々木蔵之介、市川亀治郎、中尾明慶、有川マコト、手塚とおる、浅野和之

公式HP:ttp://www.parco-play.com/web/play/semaki/

舞台はコンビニ。会社を退職してきたばかりの主人公・天野は、父親が倒れたという知らせを受けて、実家のコンビニに帰ってくる。
自分なりの正義を貫いてきたつもりだった天野。でも、気がつくと大義のために弱者を切り捨てることに何の感情も持たない人間になってしまっていた。
そんなとき、天野の前に、7年前に死んだはずの親友・葉刈が姿を現す。
「世界の終わりと新たな始まり、更新の日は近い。」

狭き門を通るのは誰か。そのための条件とは何か。



前知識はタイトルと役者陣のみだったので、もっと抽象的な舞台かと思いきや、物語自体はとても分かり易く、誰の心にもリンクしやすいものでした。舞台上にコンビニがあった時点ですごく驚きましたよ。こんな身近な場所が舞台なんて!
コンビニの時計が現在の時間(開演前だから、19時直前ね)にぴったり合ってることを確認。あの時計が何か関係するのかな~とか思いつつ(異様に光ってたし)。舞台上のことが現在進行形で起こってるような感覚を覚えました。なので物語中、自分自身が選択を迫られてるような気がしましたよ。

私なら、どうするだろう。

舞台上のことが、本当に起こっててもおかしくない。(まぁ、宇宙は誰かの腹に繋がってるって言いますしね。笑)
もし、それを知ってしまったら、私ならどうするだろうか。
選べるとしたら、どちらを選ぶのか。



タイトルの「狭き門より入れ」は、新約聖書の言葉です。

「力を尽くして狭き門より入れ。滅びにいたる門は大きく、その路は広く、之より入る者多し。生命にいたる門は狭く、その路は細く、之を見出す者少なし。」(新約聖書のマタイ福音書第7章第13節)


ここからネタバレ入ります。反転!

新世界へ行ける条件は、自分自身に対する意識を捨てられる者?だったのかな?こぶとり爺さんの例え話は壮絶でしたね。
狭き門は、ほとんどの人が選ばないはずの道。もともと狭いわけではなく、わざわざ辛い方を選ぶ人は少ないってことですよね。しかもそれを、自然な感情で選ぶ人。

狭き門を通った人だけが行ける、膿みを切り離した理想的な社会。
しかし所詮は、誰かの手によるノアの箱舟じゃないか。という疑問が起こります。
切り捨てて出来上がった社会、傷を忘れてしまった純粋な赤ちゃんたちの社会も、きっとやがてどこかにまた歪みが起こり、岸や葉刈が属する組織?がまたそれを切り離す。そのことが前提で行われている更新なのです。
それを繰り返していくことが、本当に世界が良くなるということなのか。その世界に属して、本当に幸せなのか。

傷を忘れたくないと、天野は言う。
そう、狭き門を目指す人はきっと、そう思うことでしょう。その人たちを別に新しくあつらえた箱庭に閉じ込める。ああ、勿体無いなぁ・・・と思わずにはいられません。本人達は望んでないのになぁ。
つか、そういうことをする時点で岸や葉刈たちは新世界への資格があるとは思えないんだけど・・・(正直、最終的に旧世界にいっしょに残るのかと思ってました)

新世界への資格を持たなくてはならない、柱。
彼らが柱を旧世界に残していったのは、パンドラの箱の底の希望なのかな。絶望して切り捨てる中で、もしかしたら、っていう希望なのかもしれない。可能性を、捨てきれないのかもしれません。
少なくとも、葉刈は天野に何かを期待しているような気がする。

どこまでもどこまでも絶望して、その中から見出す僅かな希望。
天野の選択こそが、私たちにとっての希望ですよね。
ラストの彼の台詞に、胸がいっぱいになりました。

「ゴミ溜めの世界が、こんなに美しいとは。」

新世界よりも、私は天野の残った世界にこそ、期待を寄せずにはいられない。
これは、滅びの物語ではなく、究極の再生の物語なんです。
そのために何が必要なのか、天野が出した結論が教えてくれたのです。


くだらないとか、つまらないとか、そんなことばっかり言ってちゃダメですね。
私にできることは何なのか、考えなくては。
狭き門をこそ、選べる人になりたいですね。
ああ、何か言葉が足りない気がする。あのラストの言葉を聞いたときに感じた震えの意味について。まだ何か足りない気がする。
後から後から、色んな思いがついてくる物語でした。
その物語を凄まじい迫力で演じられた役者陣の方々、本当に見事です!
「トリック」
2007/ポーランド/監督:アンジェイ・ヤキモフスキ/出演:ダミアン・ウル、エヴァリナ・ヴァレンジャク、トマシュ・サプリック、イヴァナ・フォルナルチック

日本では公開されてない映画です。第20回東京国際映画祭のみかな。
イマジカはこういう入手しにくいものも放送してくれるから、好きです。

母親と、歳の離れた姉と3人で暮らすステフェク。駅で出会った男性を、自分達を捨てた父親に違いない!と直感で思ったステフェクは、彼と母親を出会わせるよう、魔法をしかけます。

公開しないなんて、何て勿体無い!!!
と思わず画面に叫びそうになるくらい、ステキな映画でした。可愛い!暖かい!
ステフェクは、現実的な姉エルカが見せる、“機知によって起こる奇跡”を見て、それを魔法と信じる。
スーパーの駐車場でリンゴを売る二組。売れてない方のおじさんの前に、そっとカートを置いた頭の良さにはびっくりしました。
カートっていうのは、一つあると、そこに皆置いていくものなのですよ。スーパーでバイトしてたことあるから、分かります。
すると、ついでにおじさんのリンゴも見ていくっていう算段です。

家族思いのエルカ。
でも、現実的なエルカは、傷つくことにも臆病。ステフェクの直感に、過敏な拒否反応を示すのです。

傷ついた家族と、純真な少年の心が織り成す奇跡の魔法の物語。
すごくステキな物語でした。

しっかし、エルカのスカート丈は短すぎだろう!
シャツワンピースのときの一番下のボタンの位置にもう、ドキドキしましたよ。そりゃ口笛吹かれますって。


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