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映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「ダブリンの街角で」
ONCE ダブリンの街角で デラックス版 [DVD]

2006/アイルランド/監督・脚本:ジョン・カーニー/グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロバ、ヒュー・ウォルシュ、ゲリー・ヘンドリック、アラスター・フォーリー

公式サイト:ttp://www.oncethemovie.jp/

もう少しゆっくり変わってくれたら
君の嘘がぼくにも分かったのに


アイルランドのダブリンが舞台の、音楽によって生まれるラブストーリー。
最近のアイルランド事情はよく分かっていなかったのですが、どうやら昔のイメージとは少し違うようですね。
かつては貧困のイメージが強いアイルランドでしたが、今では移民を受け入れることのできる豊かな国になっているよう。
この映画の主人公の男性は、ダブリンのストリートミュージシャン。女性は、チェコからの移民で、音楽・・・は詳しかったけど、勉強していたのは、チェコにいた間のことでしょうね。

なんと、この映画。
驚くことに、最後まで主人公の男女の名前が明かされません。

エンドクレジットで改めて気づいて、驚きます。でも、そんなものは必要ないほどに、彼らの関係性は、音楽で築かれていた。
音楽があったから、観客には他のものは必要なかった。

音楽を間にして、心を通わせながらも・・・なんと微妙な距離感!
その終わり方には本当、震えましたよ。

この映画は、アカデミー賞最優秀歌曲賞を受賞しています。
大きく納得、の作品です。サントラ欲しい。
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「Right Eye」


1998/NODA・MAP/作・演出:野田秀樹/出演:牧瀬里穂、吹越満、野田秀樹

ある日右目の視力を失ってしまった野田秀樹氏。
Right右の(正しい)目を失って、left左の(残された)目で世界を見なくてはいけなくなった野田氏のエピソードと、彼が執筆中の舞台脚本の物語(戦場のカメラマンの正義と名声に揺れる心の物語)とが交錯する、高尚な言葉遊びと新鮮な演出法の舞台でした。

野田氏の舞台を見るのはこれが初めて。
NODA・MAPの中でも番外編というカテゴリに入ってる作品ですが、彼の作品の中でも異色ということかしら?
たった3人の舞台ながら、重いテーマがしっかりと描かれ、それでいてコメディ要素も多い舞台でした。
それにしても、フキコシは野田氏の演出法に向いてるんだなぁ。すごく、フキコシがフキコシらしい演技でしたよ。
しかし・・・自らの右目失明すらも舞台にしちゃうなんて、野田氏の人生における舞台の比重の重さを感じますね。凄い・・!
「ウーマン・イン・ブラック」


2008/舞台/原作:スーザン・ヒル/演出:ロビン・ハーフォード/出演:上川隆也、斉藤晴彦

公式ページ:ttp://www.parco-play.com/web/play/woman08/

イギリスのある劇場が舞台。
北イギリスの片田舎で起こった、ある怪奇な物語に関わった弁護士キップスの独白を、彼と若い俳優二人で、キップスの友人と家族に話すために芝居仕立てに演じることにする。
若い頃のキップスを俳優(上川隆也)が、キップスに関わった人々を老キップス(斉藤晴彦)が演じる。
老キップスは言う。
霊的なもの、怪奇なものに遭遇するということは、人々が怖い話をして楽しむような、そんなものではないのだと。
あの日から、キップス弁護士をずっと苦しめていた呪縛から解き放たれるために、話すのだと。

いやー、前半は効果音に驚く程度で、それほど怖いとは思いませんでした。
これなら、大丈夫かしら!と油断していたのですが・・
後半は、怖かったですね(笑)。とはいえ、夜眠れなくなるほどではないけど。
休憩時間に、同じ会場に来ていた友人D(彼女は1人で来てたのですよー)と話したのですが、そこで(ネタバレ反転)「多分、あの黒い服の女の人が、上川さんは斉藤さんが用意した人だと思ってるけど、本物の幽霊だったってオチだろうね。」と言ってました。まぁ、私もそこまでは読めていたんですが、予想とはいえ、ダメだよ友人D、会場内で大声でそんなこと言っちゃ(笑)。
まぁ、そこまでは誰もが気づくところなのでしょうけど。
ただ、そのことによって起きる悲劇を知って、うわぁっ・・・と本当に怖くなりました。
その無差別さは、貞子だよ・・
知ることによって復讐の輪が増幅されていく感じとかもさぁ、そんな感じですよねぇ。

舞台セットがまた怖くてさー!
始まる前とか、無意味に緊張していました。

そのくせ、前半で油断してからはちょっとリラックスしてましたけどね(笑)。
若キップス氏が「おやすみ、スパイダー。」って言って完璧に会場内が真っ暗になった一瞬、私も眠りに落ちてましたもの(笑)。
数秒後、若キップス氏がうなされて「うわっ!」って起きた瞬間、うわっ、寝てた!って自分にビックリしました(笑)。
そこから、だけどね・・・フフ・・・そこからは寝れるわけはなかったです(笑)。

上川さんもカッコ良かったのですが、斉藤さんが可愛くて(また可愛いとか言ったら失礼かしら。苦笑)!
愛想のない御者の・・・名前忘れた、元御用聞き?みたいな人の、突然馬車を走らせる、「そぉ~れ」がツボでした。
あー、そういえば一つだけ疑問が!(反転↓)
あの御者、最初に若キップスが屋敷に泊まったとき、夜中の2時頃迎えに来たでしょう。
あれ、夕方の5時以降は通れなくなるんじゃなかったの??彼はどうやって屋敷まで来たんだろう。
それだけがすごく不思議でならないんですが・・・

観たことある方、ご存知だったら、というか私が何か聞き落としてたら教えてください。。
怖かったけど、確かに面白かった。凄い作品であることは、納得です!
まぁ、「心臓の弱い方は気をつけてください」とかいう注意書きはなかったので、誰でも大丈夫じゃないでしょうか。機会があれば、是非に・・・*
「オール・アバウト・マイ・マザー」
オール・アバウト・マイ・マザー [DVD]

1998/スペイン/監督:ペドロ・アルモドバル/出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデス、ペネロペ・クルス、アントニア・サン・フアン、ロサ・マリア・サルダ

シングルマザーの母親マヌエラと17歳の息子エステバン。
一緒に映画を見たり舞台を観に行ったり、待ち合わせをしてるときのお母さんの美しさといったら、恋人同士みたいな雰囲気すらある。
そんな中、冒頭始まってすぐ、エステバンが亡くなってしまう。
諸事情により、父親には子供の存在を明かしていなかったのですが、息子の思いを知ったマヌエラは、父親にそのことを伝えに行くことにする。

この監督さんの作品、好きです。雰囲気や作り方も印象的。映像的にも美しい。
一言で言うと、女性賛美の映画。
もっと的確に言うと、母親賛美の映画。
この監督さんにとっては、女性=母親なのでしょう。
全ての女性、そして女性になりたいと願う男性のなかにある、母親の強さと愛情深さを、賛美した作品。あの強さのなかには、どれだけの悲しさがあるのか。
勿論、全ての女性なんて言うと語弊があるんだろうけど。
私も、あの強さに憧れるから、母親になりたい(いつか、ね。笑)って願うのかもしれません。
「時をかける少女」
時をかける少女 通常版 [DVD]

2006/アニメ/監督:細田守/原作:筒井康隆/声の出演:仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、原沙知絵、谷村美月、 垣内彩未 、関戸優希

前知識なく、観たのですが。
後から調べてみたところ、尾道三部作の「時をかける少女」の続編なのですね。時代だけ変えての、そのまんまのリメイクなんだと思ってた~。あの映画での主人公が、今回脇役に回り、主人公の心情を紐解く重要な役割を担う。
そーか、それであんなにあの写真がアップになったのか(笑)。あの絵と関係があるのか、それともあの人と関係があるのか・・とすごい勘繰りましたよ。タイムリープのことも、「年頃の女の子にはよくあることよ」とか言ってたし。最初聞いたときは、一体どんなストーリーなのかと。。
和子おばさんと、真琴と、二人の行動の違いをみるっていう楽しみ方もあるみたい。こうなると原作も気になるなぁ!

観ている間は、とにかく切ない青春映画。
主人公の真琴は、高校生・・なの?にしてはちょっと幼すぎますが、ああいう子供っぽい時期を、中学生の頃であれ、小学生の頃であれ、過ごしてきたんだよなぁ、って妙に懐かしく思ってしまいます。
かなり考えが足らない、大らか過ぎる子ですが、まぁ、だから良かったんだろうなぁ、と思います。
初めての気持ちへの戸惑いと、どうにもならない切なさ。
何かもう、自分の初恋を思い出しちゃいます。奥華子さんのEDがまた、たまらないですね。

終わってから考えてみたら、確かに、腑に落ちない点もたくさんありました。
でも、そういう解釈も、個人に任せるタイプの映画ということでいいんじゃないかと思います。
私たちは、真琴に思いを重ねる。
真琴がこれから選ぶ未来は、私達一人一人の希望。

さて、ネタバレ反転↓
とりあえず千秋。つか、本当にこういうことを気にするのはアレなんですが(笑)。
アイツは転校してきたって言ってましたが、どうやって学校にもぐりこんできたんだ??そして、どうやって普段暮らしているの?!お金たくさん持ってきたのかな。
それに、真琴につきあおうって言ったり、ある未来でゆりちゃん(だっけ?)と付き合ったり、あいつはいつまで居る気だったんだ・・・
それとも、真琴がタイムリープを使ったことで、別の千秋になってたとか?

そして、帰る間際のあの言葉。
「未来で待ってる」
あの言葉の、真意はなんだろう。
真琴はその言葉を聞いて、未来への希望を思った。
未来で会うというのが、どういう形なのか。
そもそも、千秋は現在より何年先の未来からやってきたのか(言ってませんよね?)。

帰れなかった千秋の説明や、このときの言葉や、何だか全部説明しきれてないような感じがあったのですが、私達が受け取った解釈それぞれで、いいということかな、と思いました。
ちょっともう一度後で見直したいところですが。記憶を整理してみると、
彼がいた未来は、人口が少ない。空が小さい。自転車はない。野球もない。
どう考えてみても、あんまり良い未来ではなさそうです。

さらに、彼がこの時代に来た理由は、
千秋の時代では焼失してしまった絵を見にきたということ。
この絵が、未来と関係があるのか、と真琴は聞いた。千秋は答えなかったけど。
和子おばさんの説明によると、ウロ覚えですが、
世界が苦しかった時期に、描かれた絵だということ。
あの絵が、辛い時期に人々を救った絵だとしたら。
その絵を見ることだけを目的にタイムリープしてきた千秋は、その絵に何を求めていたのか。

焼失、ということを考えると 戦争?
もしくは、環境破壊。

これから私達が迎える未来は、このままでいくとその絵は焼失されるのです。
その絵を守るということは、単に絵を無事に未来へ届けるということではなく、空の青い、真琴みたいに元気な女の子が走り回る、夏休みのキャッチボールみたいな平和な一日を、千秋の時代に届けるという意味かもしれません。
未来で待ってる、というのは、例え生きて会える時間の隔たりではなかったとしても、繋いでいく未来が、真琴を感じさせるものであったなら。
真琴は、これから千秋へ未来を届けることができるんですもの。そういう繋がりは、希望になりませんか?
この大事な約束が、これからの真琴の心の支えになるのでしょう。

千秋に届けたい未来がどんなものか。
それは、私達一人一人が感じたこと、私達が真琴に重ねる思い、なのではないかと思います。

千秋に二度と会えないと思ったあのとき。
私も真琴といっしょに、また会いたいと思った。もう一度会いたい、と。
もう一度千秋に会うために、希望ある未来を作りたい。
そうしたら、想像できる。
真琴の思いを受け取った千秋を。
あの絵の前にいる千秋や、青空の下で、真琴みたいに元気な女の子と走り回る千秋を。


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