映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「サラエボの花」
![]() 2006/ボスニア・ヘルツェゴビナ・オーストリア・ドイツ・クロアチア合作映画/監督・脚本:ヤスミラ・ジュバニッチ/ミリャナ・カラノビッチ、ルナ・ミヨビッチ、レオン・ルチェフ、ケナン・チャティチ 公式HP:ttp://www.albatros-film.com/movie/saraebo/ ボスニア内戦から10年後のサラエボ。母娘二人きりで暮らす家族。 母親のエスマは娘のサラに、父親は戦死したシャビード(殉職者)だと説明している。 だが、学校の行事での旅行の料金が支払えないエスマは、シャビードの家の子は旅行料金が免除されると知りつつも、金策に走る。 小さな綻びから生まれるサラのエスマに対する不信感。 エスマが、サラに隠している重大な秘密とは・・・ 民族紛争の傷は、内戦が終わったあとも、深く傷跡を残しています。 エスマとサラの絆の深さや、エスマの瞳の奥にひそむ、拒絶する壁や、突然の激情や、ジャビードの子であることを誇りに思う子供たちの姿や。 古い友人は、サラの存在を知ることなく、エスマの母親が亡くなって良かった、と言いました。 でも、エスマとサラがじゃれて笑い合う、唯一無二の家族として心を寄せ合う姿を見ると、泣きたくなる。 悲しくて愛しい存在。(ネタバレ反転↓) エスマにとってサラは、敵の子であり、自分の子であり、たった一つの希望。やはり、希望なのでしょう。 強い憎悪によって行われた残虐な行為。でも、新しい生命は、人々の憎悪を超えた力を持っているのかもしれません。 荒れた大地の隙間から咲いた花が、太陽の下で輝きますように・・・ 苦しい。決して忘れてはならない。でも、顔を上げたくなる。サラの笑顔を見ると、心から嬉しくなる。 強く、心を揺さぶられる映画でした。 PR
「サマータイムマシンブルース2005」
![]() 2005年/ヨーロッパ企画/作・演出:上田誠/出演:諏訪雅、中川晴樹、永野宗典、本多力、石田剛太、土佐和成、清水智子、西村直子、角田貴志 劇団ヨーロッパ企画の映画化に伴う再演のDVD。私は日本映画チャンネルにて観賞。 物語の内容については、映画版の感想を参照してください。 先に映画版を観たので、映像での演出より見た目が地味になってしまって面白みが欠けるかと思いきや、舞台版は舞台版の面白さがありました。 何せ、映像であればどうにでもなるタイムトラベルの表現の難しさ。 舞台の上で今日の自分と昨日の自分が代わる代わる出てくる上、それを観客に分からせないといけない。まぁ、服で判別できるようにしてましたけど、舞台の裏ではドタバタだっただろうな・・と思うシーンがいくつもありました(笑)。 一つの舞台の上でタイムトラベルを成し遂げた見事さ、脚本の面白さと共に見事としか言いようがありません。 ドタバタの面白さと、ほんのりと青春の心にジンとくる感じと。 舞台ならではの魅力の詰まった作品です。
「サマータイムマシンブルース」
![]() 2005年/日本/監督:本広克行/原作・脚本:上田誠/出演:瑛太、上野樹里、与座嘉秋、真木よう子、佐々木蔵之介、川岡大次郎、ムロツヨシ、永野宗典、本多力、升毅、三上市朗、楠見薫、川下大洋、伊藤紘介、石田剛太、酒井善史、諏訪雅、中川晴樹 劇団ヨーロッパ企画の舞台の映画化。 夏の暑い日、SF研究会の部室に、突然タイムマシンが現れる。誰かのイタズラだろうと、冗談でスイッチを押してみると、なんと本当にタイムスリップしてしまった。 そこで、彼らは壊れたクーラーのリモコンを前日に取りに行こうという計画を立てる。 ヨーロッパ企画の舞台は観たことがなかったのですが、一気に興味が湧きました。何より、脚本がすごい! 2時間弱の上映時間の中で、幾度となくタイムマシンが稼動し、何度も人が行き来する。しかも、一日前と今日との往復が主、という何とも規模の小さい話(笑)。でも、だからこそのギリギリの時間合わせ。 いくつもの伏線と矛盾が、最後にはぴったりとパズルが組み合わされるように解決する、その緻密さ。 舞台ならではの面白さ満点でした。 舞台をあんまり見たことがないって方は是非!こういう脚本なんだよ、という、舞台にハマるきっかけになってくれたらいいな、と思いました。 しかし、映画版なので舞台は一つではなく、街全体です。 これを舞台ではどうやって一つの場所で演じるのか、観るのが楽しみです。あ、舞台版もDVDで発売されてますヨ☆ キャストもかなりツボでした!瑛太くんと上野樹里っていうコンビも大好きですし、脇もヨーロッパ企画のメンバーや、蔵さまや三上さん(劇団M.O.P)に川下大洋さん(Piper)、楠見さんまで!好きな役者さんばかりでとても嬉しかったです。 ハラハラどきどき、ラストも最高です! 今までこの映画の存在知らなかったのがとても勿体無かったわ~。 ううむ、ヨーロッパ企画に興味津々です*
「ドルフィンブルー」
![]() 2007年/日本映画/監督:前田哲/脚本:川嶋澄乃、松本稔、前田哲/出演:松山ケンイチ、高畑充希、西山茉希、池内博之、坂井真紀、永作博美、山崎努 公式サイト↓ ttp://www.dolphin-blue.com/ 沖縄美ら海水族館で飼育されているバンドウイルカのフジの実話。 病気で尾びれを失ったフジを、もう一度泳がせてあげたい、と、人口尾びれを作るプロジェクトが立ち上がる。 イルカと人間の寄り添う姿に、心を強く動かされました。家庭環境に心を冷たくしている女の子が、救いを求めてか、フジのところへ通ってくる。彼女に対するフジを見てると、何もかも知ってて、寄り添ってくれているような、そんな感じがする。 不思議とイルカって、人間同士よりもずっと深く、人間の心を見通しているような、そんな気がしますね。イルカにヒーリング効果があるのって、そういうことじゃないかな。 勿論、可愛さも尋常じゃないです(笑)。ケタケタケタって笑う様子とか、悲しくて辛そうに座り込む飼育員の足元に擦り寄りながらキュウって鳴いたりとか(あの鳴き声、たまらないですよね!)。エンドロールのときに、水槽の中のフジの様子の映像が延々流れるんですが、カメラに正面衝突してくるフジのたらこ唇みたいな顔が可愛すぎる!! 萌えました~vv 人間は悩みます。 フジにとって、どうすることが1番幸せなのか。 フジの生命力と、人々の葛藤に心を動かされる、作品です。
「かもめ」
![]() 2008/舞台/演出:栗山民也/原作:アントン・チェーホフ/出演:藤原竜也、鹿賀丈史、美波、小島聖、麻実れい 他 公式HP:ttp://hpot.jp/kamome/ the・ロシア文学という感じでしたね~。とにかくとっつきにくく、言ってる意味が分からない上、どれがジョークなのか分かりにくい(笑)。多分、意図と違う場所で笑いそうでした(笑)。 あと、名前!長すぎなんだって!ロシアは愛称がありますしねー。コンスタンチン=コースチャって中々結びつきませんでした。 全くの予習なしで行ったのですが、確かに予習は必要でした。時代背景が良く分かってなかったので、ロシアの文化人にとって、都会に住むということがどれだけ大切なことなのかが、分かっていなかった。後でパンフ読んで知りましたよ。あと、トルストイの名がたくさん出てきましたが、チェーホフにとって非常に尊敬する文学者だったことも。 終わったあとで、「あれ・・・直接の原因は何だっけ?」って考え込みましたもの。 どっち?ニーナのこと?それとも、自分の才能の限界を感じたから?両方? 作家志望の青年と、有名女優のその母親、その母親の恋人の売れっ子作家、売れっ子作家に惹かれる女優志望の少女。 芸術というものに翻弄される人間達を描いたもので、これは、おこがましいですけど、創作を試みたことがある人は、ちょっと気持ちが分かるかもしれない。 ネタバレ反転↓ コースチャの、芸術に対する新しい形態への熱意。自分の才能を信じる彼の熱情。でも、若くて不安定で、確かに“何か”を持っているのに、それを形にするだけの経験と実力を持たない。 コースチャの才能が実を結ばなかったのは、田舎でくすぶってたからだということでしたが・・・そうか、そういうものなのか。確かに、誰かに言いたいと、出てくる言葉は色んな人とぶつかって、話して、袖触れ合って生まれるもの。毎日同じ人間としか会わない生活では、中々に難しいのでしょうか・・・。 そういう生活だったから、彼の戯曲には生きている人が出てこないのか。 でも、コースチャの結構可哀相な境遇は、文学で実を結ぶには充分のような気がするけど。 お母さんとの激しいシーンは笑えましたね(笑)。25歳って言ってなかったか?それにしては甘えたさんだなぁ~~。お母さんが服買ってくれないからボロ着てるって言ってましたが。 仕 事 し ろ とツッコんだのは、私だけではないでしょう。 文学を目指してたから、それ以外のことをする気はなかったっていうことかな。 コースチャが自分が作った戯曲を母親に見せたときの、母親の態度は本当ひどいです。あれは創作意欲をなくしますよ・・!子供の夢を踏みにじる、親として絶対してはならないことです。 いや、しかしほんと・・・結局は似た者親子だなって思いましたよ。あの勝手さ加減。甘えた加減。 退屈で平和な生活を一変させたのは、母親の恋人トリゴーリンの出現でした。 売れっ子作家で、母親の恋人で、コースチャの好きな女の子ニーナの心まで奪ったトリゴーリン。 コースチャの何もかもを奪い去って行った彼は、コースチャに新たな混沌を与えました。 ちなみに、このときコースチャが自殺未遂したのは、全てを奪われて自分には何も残ってないという、衝動からですよね? トリゴーリンがまたくせもので、アルカージナには絶対服従、ニーナには弱みを見せたりして、非常に上手く生きている。 作家としての彼の腕がどれだけのものかは分かりませんが、彼は民衆の心を掴む方法を知っていたのでしょう。芸術に対する純粋さ、透明さでいえば、コースチャのほうが上だったかもしれない。でも、それを民衆に認めさせる力がなかっただけ。 そして、コースチャの望み全てをトリゴーリンがモスクワに持ち去ってから、2年後―――。 ここで再会したことで、コースチャとニーナの決定的な別れがはっきりしたのですね。 傷つき、その中から立ち上がったニーナの力強さ。その変化で、ニーナと自分との間に大きく開いた分かれ道を感じたコースチャは、死を選ぶ。 分かるような、理解してあげられないような物語。 ここから立ち上がるだけの強さがあれば、もっと先でニーナと会える未来もあったかもしれないし、文学的にも伝えたいことが形にできたかもしれない。 それにしても、終わったシーンがよく分かったなぁ、と思うくらい素早く拍手が沸きおごりましたが、そうか、初めてじゃない人がたくさんいるんですね・・(笑)。 竜也くんの舞台は初めてで、彼の舞台の凄さは、前評判で相当期待していたのですが、確かに彼の放つ空気はすごいですね。 いやー、しっかし綺麗な顔しとってよー、本当。 舞台上・・ストーリー上であんまり笑顔が観れなかったので、カーテンコールでの笑顔にキュンとしました(笑)。 小島聖さんの頭の小ささにびっくりしました。綺麗ですねー!麻実れいさんは、さすが元宝塚。あのちょっと下品な貴婦人喋り、凄い色気で印象的でした。 とっつきにくいし、分かりにくかったけど、不条理コメディよりは、断然こっちのが好きですね(笑)。 それに、実は(?笑)純文学って結構好きなんだ。 あ、知ってる?あ、そう~(笑)。 後でパンフを観てびっくりしたのが、トリゴーリン(鹿賀さん)が30代後半ってことと、マーシャと結婚した先生が30代前半だったってこと。 ・・・いや、それは説明してくれないと見た目じゃ分からない(笑)! |
カテゴリー
最新記事
新潮文庫の100冊 2010
読書記録
プロフィール
HN:
水玉
性別:
女性
ブログ内検索
|