忍者ブログ
映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
[11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「私のように美しい娘」
私のように美しい娘〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選12〕 [DVD]

1972/フランス/監督:フランソワ・トリュフォー/出演:ベルナデット・ラフォン、アンドレ・デュソリエ、シャルル・デネル、クロード・ブラッスール、ギー・マルシャン、フィリップ・レオタール

いやぁ・・ここまでやってくれると、壮観です。
社会学の教授が、女囚をサンプルに犯罪心理学を解明するために、インタビューを行います。
そこで出会ったカミーユという、夫を殺した罪で刑務所に入っている女性の生い立ちと犯罪までの経緯を聞くのですが・・・

彼女の悪女っぷりが本当に徹底してます。
社会学の先生のインタビューで語ってることの背景で、実際に彼女の身に起こったことが映像で流れるのですが、言ってることとやってることの違いに思わず笑いが出ます。
彼女と関わった男たちは、必ず「あの女はそんな良い種類の女じゃない」と言いますが、それでも彼女の魅力にコロッと。
不思議なものです・・・。
さて、その社会学の先生の行く末は・・!?

コメディとして観て良い作品だと思います。面白かった!
PR
「虹の女神」
虹の女神 Rainbow Song [DVD]

2006/日本/監督:熊澤尚人/原案・脚本:桜井亜美/出演:市原隼人、上野樹里、蒼井優、酒井若菜、鈴木亜美、相田翔子、小日向文世、佐々木蔵之介

公式HP:ttp://rainbowsong.jp/start.html

「終わったのは、私だけだった。」

冒頭でヒロインが亡くなってしまうという、前知識なしで観たら、ちょっと驚いてしまう映画。私は、前知識は全然ありませんでしたよ。
主人公の市原隼人が、どちらかというと不器用で流されやすくて、ダメタイプの男の子なのですが、この子のボソボソ喋る感じが、すごく自然で良かったです。聞き取りにくいけど。本当、なんていうか・・大学時代に出会う男の子、という感じ?
冒頭で亡くなるヒロインに、上野樹里。この子も、普通にそこら辺にいそうな感じで、良かったですね。私とは、ちょっとタイプが違いますけど。
あおい(上野樹里)が飛行機事故で亡くなったという知らせを受けても、智也(市原隼人)の感情ははっきりしません。
それほど悲しんでいるようにも見えず。
あおいの気持ちにも自分の気持ちにも鈍感な智也という像が、あおいとのエピソードが少しずつ語られていくことによって、見えてきます。
あおいの妹、かな役に、蒼井優。盲目という設定が手伝ってか、彼女から見える二人こそが、本当の二人の想いのように思えます。
あおいの遺体を引き取りにいくとき、かなが智也に縋って、「一緒に来て欲しい」と泣いて頼むシーン。
ただただ、どうすればいいのか分からず立ち尽くす智也。
このシーンを、冒頭に近い部分で見せられたことで、私はかなの視点で二人を見守っていたような気がします。
ラスト近く、かなが言った一言が、効きますね。
バカだなぁ、お姉ちゃんも、岸田さんも。

映画研究会であおいが撮った映画、あの映画の中に、あおいの本音が詰まっているようで、胸が潰れる思いでした。

千鶴さんとのエピソードは、好きです(笑)。笑うシーンよね?いいな、あれちょっとやりたい(「私のハートにコール」・・だっけ?笑)
ああいうのに流されてしまう智也の性格がまた・・・。
智也らしい、と思っちゃったのが、製作側の思うツボなんでしょうね(笑)。
「ピアニスト」
ピアニスト [DVD]

2001/フランス・オーストリア/監督:ミヒャエル・ハネケ/出演:イザベル・ユペール、ブノワ・マジメル、アニー・ジラルド、アンナ・シガレヴィッチ、スザンヌ・ロタール、ウド・ザメル

俳優さんたちがこぞって出演したいと願っているというミヒャエル・ハネケ監督の、カンヌ映画祭でグランプリをとった作品。というわけで、楽しみにしてました。いやー・・・グランプリ取ったの、分かります。これは、すごい!色んな意味で。
私は、「71フラグメンツ」という映画しか観たことないんですけども。
「71フラグメンツ」のときも思いましたが、印象的なラストで説明一切なし!これぞ、フランス映画ですね(笑)。見る人によって、解釈が違うでしょう。こういうの、ズルイな~と思うけど、好きです(笑)。
イマジカ(ケーブルの映画チャンネル)では、最初に“point of view”というのをご親切に教えてくれるのですが、観る前だと内容が分からないので大体はサラリと流しますよね。観た後で、もう一度見てみたら、「物語自体は普遍的な内容」とある。いや、とてもそうは思えませんでしたけども・・!それが、ハネケ監督の手腕でしょうか。
いやぁ、ツッコミどころ満載!観ながら、何度も画面に向かって「はっ、何でっ?!」「そうきたか・・!」と呟いてました。ある意味、映画館でなくて良かったかもしれません。
カンヌでも、大爆笑が起こったらしいですよ。
でも、見る側にそれだけの余裕がなかったら本当に痛々しい物語です。

コンサートで弾くピアニストになるために母親に厳しく管理されて育った中年女性のエリカ。その夢破れて、音楽大学の大学院でピアノ教授をしている彼女は、環境と自責の念からか、倒錯した性的趣味を持ってます。
ある日、ピアノの才能溢れる美青年ワルターと出会い、彼はエリカに恋をして熱心に彼女に迫るようになるのですが・・・

才能に溢れてて、ハンサムで、自信に溢れた風なワルターが、冷たい表情を崩さない知的なエリカに惹かれるという設定は、かなり好みです。
普通の女の子じゃあ満足しないタイプですね、ワルター。
ですが、彼の計算外にエリカは個性的でした(笑)。
彼の情熱は凄かったです。普通は、あそこまではできませんよ。そのくせ、意外と中身は優しくてピュアですからね~。
エリカに振り回されるワルターが可笑しくてなりませんでした(笑)。

(ネタバレ反転↓)
エリカは、支配したかったのか、されたかったのか。
母親からの管理から逃れたかったのか、そうじゃなかったのか。

エリカの態度がコロコロ変わるので、私のほうがついていくのに必死でした。
ワルターを愛していたのは、本当でしょう。
だからこそ、全てを告白して、自分の醜さを知って欲しかった。
では、次の日にワルターを訪ねて懇願したエリカが、ワルターが彼女の願いをかなえるために現れたとき、ワルターを拒んだのは、何故?
言ってることと、本心は違ったということ?
わっかりにくいなぁ、この人は(笑)。

また、ワルターもよく分からない。
あんなに嫌悪を露にしてたくせに、彼女の願いを聞き入れようとする。それは、エリカへの愛ゆえなのでしょうか。始めはそう思って見ていたのですが、何やら、彼も実際エリカに引き摺られて、目覚め始めてるようにも見えてきて・・・。
どっちなの(笑)?!

二人とも、どこまでが演技で、どこまでが本当?
感動するところなのか、笑うところなのかが分からないよ!


普通ではない恋愛ですが、エリカを見ていると、こうなってしまうのも仕方ないように思えてしまう。エリカの痛みが、すごく強く胸に刺さります。
情感溢れるシューベルトを愛するエリカは、冷たい外見とは裏腹に、激しい感情を抑えこんでいたのでしょう。

「シューベルトは、とても醜かったのよ。」

この監督の作品に出たいと思う俳優さんが多いのは、分かる気がしますね。難しい役柄です。
ハネケ監督の作品、他にも録画してあるんですが、続けて観るのはちょっと精神的に疲れそう。心休まる作品を見てから、見よう・・
「風が吹くまま」
風が吹くまま [DVD]

1999/フランス・イラン/監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ/出演:ベーザード・ドーラニー、シアダレ村の人々

珍しい葬式の取材のため、山奥の村にやってきたTVクルー。
瀕死の状態のお婆さんの死を待ちながら、村に滞在するのですが、お婆さんは中々死なない。

日常的にルーティン的に進んでいく中で、主人公のTVクルーの男性の心情が少しずつ変化していくのが伝わってきます。
仕事のために、苛立ちを隠せない気持ちと、村の人たちとの交流の中で、少しずつ彼らを好きになってる気持ちと。
死を待つ自分の浅ましさと。

「桜桃の味」もキアロスタミ監督の映画ですが、死を扱うことによって生の輝きを見せるという意味で、テーマが同じなのかな。
私たちは忙しすぎて、生きることを楽しむことを忘れてる。
ラスト近くのお医者さんの言葉が、すごく胸を打ちます。

淡々とした映画ですが、会話がとても面白いし、風景がとても綺麗で飽きません。
井戸を掘る男性(最後まで顔が出てこない!)との会話が絶妙でした。
初対面でああいう気の利いた会話ができるのって凄いなぁ!

テーマの扱い方が、ハリウッドよりは日本映画に近い感じがします。
イマジカの“POINT OF VIEW”によると、この監督さんは小津安二郎監督のファンなんですって。へぇ~~
「ステップ!ステップ!ステップ!」
ステップ!ステップ!ステップ! [DVD]

2005/アメリカ/ドキュメンタリー映画/監督:マリリン・アグレロ/出演:N.Yの公立小学校の子供たち

ニューヨークの公立小学校で実施されている児童育成プログラム“ダンシング・クラスルーム”の様子、そしてコンテストを目指して練習をつんでいく様子を捉えたドキュメンタリー。

このダンシング・クラスルーム(社交ダンス)には、アメリカの抱える民族問題も関係しているようです。アメリカは、現在でも民族によって貧富の差が激しい。家庭環境によって連鎖のように犯罪への道へ向かってしまう子供たちを紳士・淑女にするという目的もあるよう。

そういった社会背景はまた別として・・・

とにかく、子供たちがかっわいい!!!(すみません、こればっかりで。笑)
多くの子供たちにインタビューしながら進んでいくんですが、おませな発言の数々にもう、悶えっぱなしでした(笑)。
でも、子供って本当、大人が思うよりもずっとしっかりと物事を正しく考えてる。
自分たちにも子供の頃はあったはずですが、いつの間にか忘れてしまうんですね~。ホントに。

「結婚ってヘンだよ。ゲイとの結婚の話とかさ。」
「“人は結婚していい”って。“どんな人と”とは書いてない。」

っていう男の子たちの会話を聞いて、びっくりしました。
こんなこと11歳の男の子の会話で出てくるんだ・・!

この子たちをさ、光の方向へ進ませてあげたいと願います。
彼らが素直な心を失くさないでいられる方向へ。
そのためにダンシング・クラスルームが何かのきっかけになるといいですね。
全てが解決はしませんけど。
大人の男性から教わる、紳士になるための心構え、何かに熱中することの楽しさ。
そういったことを経験してると、きっと何かの救いになると信じています。

それにしても、人一倍ダンスに熱を上げていたタラという女の子。コンテストに出場する選手の発表の際、ついつい選手になれるよう、祈ってしまいました。ドキドキした~(笑)。本人、選手になれるって信じてるっぽかったから・・・
他の子だって頑張っていたんだけど・・・
情に流されやすいので、先生とか絶対向いてないな、私(笑)。と思いましたよ。
でもきっと、選ばなくてはならない先生も、辛かったでしょうね。


忍者ブログ [PR]
新潮文庫の100冊 2010
読書記録
プロフィール
HN:
水玉
性別:
女性
ブログ内検索
メールフォーム