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映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「歓びを歌にのせて」
歓びを歌にのせて [DVD]

2004年/スウェーデン/監督:ケイ・ポラック/出演:ミカエル・ニュクビスト、フリーダ・ハルグレン、ヘレン・ヒョホルム、レナート・ヤーケル、ニコラス・ファルク

公式ページ:ttp://www.elephant-picture.jp/yorokobi/


『私はこう感じたい 「私は自分の人生を生きた」と』

2007年最後に観た映画として、最高でしたね。大きく動揺するような、ドラマチックなストーリーではないんですが、静かな感動がゆっくりと胸を占める作品です。
大きな名声を手にした巨匠の音楽家である主人公。身体の不調を理由に引退、そして辛い思い出の残る少年時代に過ごした村に、戻ってくる。(デビューのときに名前を変えているので、村の人には少年の頃の彼と同一人物とはバレない)
そこで聖歌隊の指揮を頼まれるのですが、小さな村では、人との関わりがすごく濃密で、たくさんの問題と向き合うことになる。
人付き合いをしてこなかった彼は、初めて人と深くかかわりあうことによって、自分の音楽へと再度向き合っていく、というお話。

彼の少年時代からの夢は、“人の心を開く音楽を作ること”。

主人公と村の人の苦しさと一生懸命さとを、音楽が包み込んでいきます。
またこれが、人の声である“合唱”だからこそ、よりはっきりとした形で魂の繋がりが見えたのかもしれません。
ラストシーンは、本当に凄かった。
あれを体験できるのって、奇跡ですよ。背筋がゾクゾクして、涙が滲みました。

やー、とりあえず、村に帰ってきたダニエルが、うさぎの後姿に、ものすごい笑顔で必死にわーっと手を振ってる姿が可愛すぎて(吹き出しましたよ。笑)、そのときから、ダニエルの虜でした(笑)。変わった人!でもすごく一生懸命でひたむきで、魅力的。
腹がたるんでようが、50代くらいのオッサンだろうが、構いませんて。
村人がダニエルに惹かれていったように、私もダニエルを大好きになりました。
ダニエルが成そうとしたことはすごくシンプル。
頑張っても中々シンプルにはいかないものですが、音楽ってそれを成し遂げる力があるんですねぇ。私も一緒に、浄化された気分になりました。
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「手紙」
手紙 スタンダード版 [DVD]

2006年/日本/監督:生野慈朗/原作:東野圭吾/出演:山田孝之、沢尻エリカ、玉山鉄二、吹石一恵、田中要次、吹越満、尾上寛之

公式サイト:ttp://www.tegami-movie.jp/

幼い頃から、二人きりで暮らす直貴と剛志の兄弟。直貴の大学の学費のため、兄・剛志は思い余って、出来心で大きな邸宅に忍び込み、ばったり出会ってしまった住人を、誤って殺してしまう。
以来、刑務所で暮らす剛志から、毎月のように直貴のもとに手紙が届く。
でも、「犯罪者の弟」というレッテルを貼られて、辛い日々を過ごす直貴には、だんだん兄を思いやることができなくなっていく。

剛志の人間性とか。
どういう経緯で人を殺してしまったのか。とか。
そういうことは、事情を知っても、やっぱり擁護するわけにはいきません。

でも

辛い。やりきれない。そんな思いでいっぱいになります。
剛志の痛みと、直貴の痛みと、由美子の強さと。

人間の弱さが、すごく露出した作品でした。

現実の中で戦っていく強さ。その現実の厳しさって、人によって違うかもしれません。でも、これが、ここが、私の現実。この現実の中で、しっかりと足を踏みしめて、道路の真ん中を堂々と歩いていくしかないのです。

強くなりたい。
と、心から思いました。

ラストは、涙が溢れて止まりませんでしたよ。
つか、あのタイミングでの、あの曲は反則(笑)!あの曲、某CMで飽きるくらい聴いてますけど、それでもあの曲を聴くだけで、今でも泣けますもの。
主にあのラストで号泣して、顔を洗いに洗面所へ行ったら、ここ1年で1番凄い顔になってました(笑)。や、泣きすぎだって(笑)。

それにしても、フキコシが出てるとは知らなかった。や、チェックして知ってたけど忘れてました(笑)。
被害者の家族の役だったのですが、お葬式の場面で、声が裏返ったのにうっかり笑ってしまいました(笑)。笑う場面じゃないんですけどね・・・だってフキコシなんだもん・・・彼は過剰な演技をしすぎなの!そこが好きなんだけどv
「34丁目の奇跡」
34丁目の奇跡 [DVD]

1994年/アメリカ/監督:レス・メイフィールド/出演:リチャード・アッテンボロー、エリザベス・パーキンス、ディラン・マクダーモット、J・T・ウォルシュ 、ジェームズ・レマー

クリスマスシーズン、おもちゃ屋はライバルたちを出し抜こうと大忙し。
あるアクシデントから、老舗デパートのサンタコーナーでサンタクロースとして雇われたクリスは、挿絵のサンタクロースにそっくり!また、営利よりも心から子供たちのためにアドバイスをしたことから、一躍評判となる。
それを妬んだライバルのおもちゃ屋が、“自称サンタクロース”として、本物のサンタクロースのように振舞うクリスを、頭が変な老人で、子供たちを騙していると訴えたことから、サンタクロースの実在証明を賭けて、前代未聞の裁判が始まります。

いかにもハリウッドぉ~な展開ではある(笑)のですが、こういう映画は、そうでなくちゃ。
子供たちの夢をかけて、大人達が真剣に戦います。
公の場で、クリスはサンタクロースではない、サンタクロースは存在しない、という判定を下すのは、子供たちの夢を粉々に壊してしまうこと。
「真実のみを語るべきこの場所で、サンタがいるなどとは言えないのだ!」と弁護士を諭す判事に、最後に彼はどんな切り札を持ってくるのでしょうか。

夢を信じる心こそが、奇跡を呼ぶのだと、そう思える作品でした。
さて、サンタクロースは本当にいるのかな?
クリスは、本当に“子供たちの夢を守るため”にサンタクロースである振りをしたのでしょうか?
感じる心は、人それぞれでしょう。
皆さんは、サンタはいると信じてますか?
「陽気なギャングが地球を回す」
陽気なギャングが地球を回す プレミアム・エディション [DVD]

2006年/日本映画/監督:前田哲/原作:伊坂幸太郎/出演:大沢たかお、鈴木京香、松田翔太、佐藤浩市、加藤ローサ、大倉孝二、光石研、松尾スズキ、古田新太、大杉漣

ファンタジーでしたね。
私は原作未読どころか、原作者の書いた作品は全く読んだことないです。人気ある作家さんですなので、興味はあるんですけど。
しっかし・・・笑えるほど、観た方の評価がひどい(笑)!特に原作者のファンの方にとっては残念な結果だったんでしょうねぇ。
うん、でも、原作未読の私からしてみると、結構楽しかったですよ。
このご時世に銀行強盗?!しかも変わった能力保持者って・・・チープな設定だなぁ、とは思ったんですが、観ているうちに設定の中に入り込んでしまうと、そのチープさが何とも心地よい。
その心地よさこそが、この映画の良さだったと思います。
途中でやめてお風呂入るはずだったのに、思わず最後まで観ちゃったくらい面白かったです。

でも確かに、これは文字の方が入り込みやすかったかもしれませんねぇ。
ファンタジーを映像化するのって本当難しいと思いますよ。文字よりずっと、直接的な伝達ゆえに。
私としては、結構上手く作ったほうではないかと思うんだけど(上から目線か)。

キャスト的にはもう、すごい好みvv佐藤浩市さんに大倉さんですよ。大倉孝二の表情の切り替わりとかすごい良かった!
「ディア・ドクター」
2009/日本映画/監督・脚本・原作:西川美和/出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、井川遥、香川照之、八千草薫

公式ページ:ttp://deardoctor.jp/

「訴えられるのは私の方かもしれません。」

映画館にて観賞。
人が良さそうで人の和にスッと入る人物で、それでいてなんだか胡散臭い。この映画の主人公は、鶴瓶師匠にしかできなかっただろう、と思いました。
都会から隔離された農村で、一人の医師(笑福亭鶴瓶)が失踪するところから、物語は始まる。村人たちのほとんどが老人。この村の中で、彼は村人から神さまのように大切に扱われていた。
彼の行方を調べる刑事二人。
しかし、彼のことを調べれば調べるほど、彼についての不審な事実が判明してくるのでした。

いくつかの嘘が引き起こす物語。ネタバレ部分は反転↓
でも彼らは、本当にしたかったのかもしれない。
どこかで分かっていて、それでも彼の存在は必要だった。
そういえば後になってから思い出したの。
あのときも あのときも あのときも

ああ、そうか。見ない振りをしていたんだ。

そうだよね。特に医療に関わる人であれば、いくら研修医であっても分かるもん。
伊野医師が村から逃げていく後姿を見つめる子供の目が印象的でした。
もしかしたら、本当は色々言われていたのかもね。各家庭では。怪しい、と。それでも、外では絶対それを言わなかった。それを言って何かが壊れることを恐れていたのかもしれません。
土砂崩れの事件のときは、本当に怖かったでしょう。
余さんも瑛太くんも。あ、香川さんもね。この3人は確実に知ってましたよねぇ。
余さんの崩れ落ちるように座った姿。
もし、あのとき患者が亡くなっていたら。あの事件で、彼女は自身の罪を思い知ったことでしょう。
でも・・・

あの村に、伊野はどうしても必要だったんです。

井川遥がラスト近くで言ってた、「彼ならどう母を死なせていたか。」ということ。
先進医療でベッドに縛り付ける都会の医療。
変わらぬ日々を過ごし、できるだけ痛みを和らげてあげる。

わざと誤診をするという罪。
でも、彼は楽な道を選んだのではない。
頻繁に患者の家に通い、様子を聞き、点滴をする。それは設備の整った病院で目の届くところに置いておくよりも大変なことです。
毎夜、物凄い量の勉強をしている(書物からしても、多分瑛太くんには伊野がプロではないことが分かったかもしれませんね)。

勿論、それらの嘘は決して許されることではないでしょう。
許したら、それはそれで何かが壊れる。
だから、村人たちは伊野がニセ医者だと判明してからは全く彼をフォローしなかった。瑛太くんもね。
でも、気づきたくなかった。
本当は判明して欲しくなかった。
騙されていたかった。


んですよね。

瑛太くんがこの村に帰ってきたいと言ったのも本心、伊野がニセモノであると主張したにも関わらず、そうと認めなかった。認めてあげなかった。
伊野は、瑛太くんにもバレてるって分かってて、その上であんなことを言う瑛太くんに腹を立てたのでしょうか。
からかってるのか、それとも良心の呵責を感じさせたいのか。と。
でも、瑛太くんの言い方が、「そういうことにしておきましょうよ。ここにいてくださいよ。」という意味だと分かって、しょうがないやつだ、と微笑んだのかもしれない。


白とか黒とか、そういうはっきりした区切りはつけられない映画でした。
でも、最後に伊野がああいう形で八千草さんのもとに来たのは、彼は彼にできる責任の取り方で、最後まで彼女を看てあげたかったのでしょう。そう思いたいです。


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