「独立少年合唱団」

2000/日本/監督:緒方明/原作・脚本:青木研次/出演:伊藤淳史、藤間宇宙、香川照之、光石研、滝沢涼子、泉谷しげる、岡本喜八、國村隼
「憶えていることと、忘れてしまったことと、どっちが大切かな。」なんらかの理由で、親元から学校へ通えなくなってしまった子供たちが通う、全寮制男子校の「独立学院中学」。冒頭で父親を亡くした道夫は、この学校へ転校することになるが、どもってしまう癖のため、周囲からいじめられる。そこへ手を差し伸べてくれたのが、グリークラブの美声の持ち主、康夫だった。
と、まぁ、設定からして私のツボを突いてくる作品ではあったんですが、これは本当に凄かった・・・!!
深い自然美のなかでの学園生活。特に、この学園に来るには皆、何らかの理由があるはず。生と死のギリギリのライン。
三途の川の向こうで手を振る両親の姿を見た、という湖で死にかけた生徒の話を聞いて、少年達が湖に走る。この子たちが憧憬を込めて見つめているものは、死、なのですね。もちろん死ぬ気はないのでしょうが、死の向こうには、優しい何かがあるように見えるんだ。普通の中学生にとっての死は、怖い以外の何物でもないと思いますけどね。彼らは、死を身近に感じてきた子供たち、なのでしょう。
物語中盤に、合唱部顧問?の後輩の女性が学校にやってくる。実は、過激な革命グループのメンバーで指名手配中だった彼女。やがて、彼女が道夫と康夫の前で見せた壮絶な事件により、物語はやがて狂気を帯びてくるのです。
キーワードは、「走馬灯」、記憶。
何とも生々しい物語です。
観た日の夜は、ずっとロシア革命の歌(ポーリシュカ・ポーレ)が耳をついて眠れませんでしたよ。思い出すと精神的に追い詰められるような感じがして、怖くなる映画。
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