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映画・舞台・本の感想記録。さて、どの夢を見ようかな。
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「アカシアの道」

2000年/日本/原作:近藤ようこ/監督:松岡錠司/出演:夏川結衣 、渡辺美佐子 、高岡蒼佑 、杉本哲太 、藤田弓子 、りりィ


母がアルツハイマーになり、自立して一人暮らしをしている美佐子は、母を介護するために実家に戻る決意をしました。
ただでさえ、アルツハイマーという病気の介護は大変です。
でも、それ以上に。
この母娘二人だけの親子には、美佐子を悩ませる致命的な事柄がありました。

それは、この母娘がお互いとても憎み合ってるということ。

痛くて

痛くて

痛くて

涙が止まりませんでした。
アルツハイマーになってなお、美佐子を支配しようとする母。記憶が混濁してるため、美佐子を未だに子供のように扱う母親の言動は、美佐子に昔の記憶を呼び戻す。愛されなかった記憶を。

母が仕方なく私を育てたように、私も仕方なく母の面倒をみるのだろうか、いつまで・・・

考えるだけで心が痛くて苦しくなる。
でも、多分、こういう環境は確かに存在する、と思います。
親を憎む子供が、この世にどれだけ多く存在することでしょう。親だって人間です。くだらない親って、いるものです。
親を愛せないからといって、その子がひどい人間だなんて、とても言えない。
では、自分が救われるためにはどうすればいいのか。
美佐子が出した答えは、深く胸に刺さるものでした。
最後の彼女の台詞に、涙が止まりませんでした。

決して、生半可な映画ではありません。でもきっと、実際にそこらにゴロゴロしてる話です。
改めて傷をえぐられるような、それでも再生に向かうこの物語に、多くの人が希望を感じるのではないでしょうか。

もともと私は、原作者の近藤ようこさんをすごく好きで原作も持ってます(漫画なんですよ~)。映画も、余すところなくきちんと原作の良さを伝えられるものでした。
傷をえぐられるから読みたくないという方もいるでしょう。
それくらい、苦しくなる物語です。
でも、決して苦しいだけの話ではない。他人が出す答えに救われることだってある、と私は思います。

自分がこれから生きていくために。私にはとても必要な一冊でした。
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新潮文庫の100冊 2010
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