「友だちのうちはどこ?」
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1987/イラン/監督:アッバス・キアロスタミ/出演:ババク・アハマッドプール、アハマッド・アハマッドプール、ホダバフシュ・デファイ、イラン・オリタ
キアロスタミ監督の名を一躍有名にした作品。
うっかり友だちのノートを持って帰ってしまったアハマッド少年はノートを返すため、友だちの家を探す。
ただそれだけ、それだけがあらすじです。それがこんなに手に汗握る、どきどきする映画になるなんて!
このノートは特別。何故なら、ノートではなく紙切れに宿題をやって行った友だちは、次にノート以外のものに宿題をやってきたら退学にする、と言われていたからです。
母親にどれだけ説明しても、聞く耳持たず。宿題をせずに遊びに行きたい言い訳だと思われてしまう。子どもの声に耳を貸さず、「宿題をやりなさい。それが終わったら手伝いね。」しか言わない。この辺、母親の態度はひどいと日本人は思うかもしれませんが、イランの主婦はとても忙しそう。昭和の母親もそうだったんじゃないかな、と思わせられる感じの余裕のなさ。親が一生懸命働いて、親が絶対的な権力を持ってて、そんな中で辛い思いをしながら、子ども達は成長していくのよ。そういう生活文化なのだと思います。
途中での祖父の台詞も良かった。あそこで、子育てについてのイランの文化を聞かされたから、それまでの先生や母親の態度にも納得がいったのです。こういう、生活に根付いた映画はとても好きです。
アハマッド少年の友情へのひたむきさ。一生懸命、転げるように遠い道のりを駆けて行くアハマッドに、思わずキュンとしてしまいます。
一生懸命なんだけど、それが全部空回りするの。
要領の悪さを、一生懸命さでカバーしてる感じ。
アハマッド少年が最後に見つけた答えとは。
何とも粋なラストでした。しかしあれ・・・(ネタバレ反転↓)
字で先生にバレないんだろうか、とちょっと思ったけど、それは気にすべきところじゃないんでしょうね(笑)。
あの答えに辿り着くまでに、アハマッド少年がものすごい遠回りをして走り回ったってことに意味があるのでしょう。PR